この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第95巻収録。かつての大戦でユダヤ人部隊の英雄と呼ばれたフィリップ。じつは彼には同胞をナチに密告し金銭を授受していたという噂があった。彼が裏切り者だと信じて疑わない勢力が、ゴルゴを雇ってフィリップを抹殺する情報をキャッチしたモサドは、ゴルゴの狙撃地点をわり出し網を張るが……。
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上空から眺める世界の絶景
ドローンが普及したこともあってか、インターネット上で多くの絶景が公開されている。本作で舞台となるイスラエルのモシャブ・ナハラルもその1つ。
モシャブとはイスラエルにある入植村のことで、1921年に最も早く建設された町がナハラルだ。上空から見たモシャブ・ナハラルは、作中で描かれているようにまさに車輪そのもの。
これは共同体として中央の広場や施設に対して平等に向かえるよう作られたからなのだとか。もっとも時代が下って再構築が進んだ現代ではそうした理念も薄れつつあるのか、様々な建物が入り組みつつある。
ホテルに残した銃と望遠鏡
太平記「大塔宮熊野落事」を知っているだろうか。鎌倉幕府打倒を掲げた大塔宮(護良親王)は追っ手から逃れるため、ふたを開けた唐櫃に隠れたところ、兵士はふたを閉めていた唐櫃だけを探して去る。
そこで大塔宮は探し終えた唐櫃に移ると、戻ってきた兵士はふたの空いた唐櫃だけを探して出ていく。開けた箱は疑われにくい。一度探したところは二度探さない。人間の盲点をついた話だ。
イスラエル情報局のマーシュ部長はゴルゴがホテルにわざと銃を残したと気づきつつも、「やつが別の場所から、狙撃をしようとしていることは、たしかだ」と即断してしまう。
先憂後楽を実施したゴルゴ
塀の上に建てたウォッカの大瓶や逆光で写り込んだ映像など、ゴルゴは多くの手がかりを残している。なぜそんなことをしたのか。どうやら狙撃後の逃走を確実にするためらしい。
『ロックフォードの野望』『G線上の狙撃』のように時間や場所を指定した依頼は多いが、依頼達成の困難さが増すと同時に狙撃場所からの逃走も難しくなっている。
ターゲットが撃たれた角度でホテルからの狙撃と判断したマーシュ部長らや警官達を尻目に、ゴルゴは悠々と車を運転して去っていく。「事前にいろいろ苦労したかいがあった」とでも思っていそうだ。
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研 修治
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