この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第77巻収録。英国伝統のダービー・レース。二十年前の八百長事件がきっかけで王室に恨みをもつタタミール卿は、王室所有の名馬・ハーディリーフ号に不正薬物を投与し、自分の持ち馬をダービーで優勝させようと目論む。陰謀を知った王室は、ゴルゴに条件付きの狙撃を依頼する。
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重賞馬のオーナーになる名誉
第二次世界大戦時にイギリスで首相の座にあったウィンストン・ チャーチルが「ダービー馬のオーナーになることは、一国の宰相となるよりも難しい」と語ったそうだが、どうやらこれは後世の作り話らしい。もっとも、そうした逸話が作られるほどにチャーチル首相と競馬のダービーとが有名な証拠でもある。
日本でも持ち馬が天皇賞やジャパンカップなどの重賞で勝つことを目指す馬主は多い。もちろん名誉なことながら、競走馬にかまけて本業をおろそかにしては元も子もない。まして本作のように八百長やドーピングに手を染めるのはもっての外だ。
悲運の名馬サクラスターオー
本作では復讐を目指すタタミール卿に獣医のグレストが工作内容を明かしている。それによると競争直前にドーピング(薬物投与)することで発走中に筋肉収縮剤を発効させて馬を故障させるとのこと。
「信じられん」と語るタタミール卿だが、グレストは昨年末の日本で開催されたビッグレースで試したとして、「なんの証拠も残らず第四コーナーで骨折事故を起こしました」と明かしている。本作発表の前年となる1987年の有馬記念で1番人気のサクラスターオーがレース中に故障を起こして競争中止となっている。事実を巧みに取り入れたさいとう先生には脱帽だ。
女王の一喝による幕引き
企てを察知したリック・ジェファーソンがゴルゴに依頼することで、薬物は中和され計画はご破算となる。最後に幕引きを行ったのがエリザベス2世らしき女性だ。執務委員や裁定委員を引き連れてタタミール卿とグレストの元に乗り込むと、その場で英国競馬会からの永久追放を命じている。
「それだけ?」と思うかもしれないが、遠からず噂は伝わるはず。イギリス国内はおろか世界の隅々まで彼らが落ち着く場所は見つからないだろう。同じく競馬界を舞台とした『血統の掟』にも登場する女王。ゴルゴが暗躍したことを知っているのだろうか。
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研 修治
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