この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第32巻収録。世界有数の石油メジャーの専務から、現会長の暗殺依頼をうけたゴルゴ。しかしこの依頼は、息子をゴルゴに殺された会長がゴルゴへの復讐として企図した罠だった。“要塞”と呼ばれるほど警備が厳重なビルに潜入するため、銃やナイフを所持していなかったゴルゴは決死の脱出を試みるが……。脚本:村岡秀一
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ゴルゴのド派手なアクションと銃撃戦に注目
「ショットガンのタマをぬいてもらおう」この台詞をゴルゴが冒頭から三回繰り返す。言うことを聞かない依頼主に一字一句違わぬ言葉を繰り返す、ゴルゴを象徴するシーンではじまる本作。
みどころは物語の大半にわたってゴルゴが繰り広げる銃撃戦とアクションシーンだ。後述するドーソン城に閉じ込められたゴルゴに襲い来る強敵を皮切りに、危機一髪の難関がいくつも迫りくる。それらをゴルゴがあの手この手でそれを切り抜けていくのが爽快なのだ。『ラブはナイフ』のように主人公がゴルゴ以外の登場人物となっている作品も味があって良いのだがゴルゴが主人公らしく活躍する作品を読みたい読者にはこちらがお勧めだ。

復讐に燃える男、レオナード・ドーソン
登場人物で注目したいのは、やはりレオナード・ドーソン会長に他ならないだろう。怪人、最後の帝王等、様々なあだ名で呼ばれる彼は息子を殺害された恨みから復讐を誓い、自社ビルをゴルゴを抹殺するための要塞に改造し彼を誘い込む。
印象的なのは脱出できそうなヘリを屋上に置いておきながらゴルゴが屋上いたどり着いた途端、目の前で爆破するという執念のこもったシーンだ。さしものゴルゴもいつにもまして厳しい表情を見せるほどである。本作でのドーソン会長の執念とその驚きの結末に注目してほしい。
思わぬアクシデント、どうなるゴルゴ!?
本作はゴルゴに親族を殺された報復を主軸に話が展開されていく。それを聞くと登場人物の特徴からも『ロックフォードの野望 謀略の死角』と似ているように思うだろう。あちらはゴルゴのルールを巧みに利用した搦め手によるゴルゴの懐柔が目的なのに対し、本作はゴルゴ抹殺を目的としたドーソン城での対決。つまり派手なアクションを前面にだした作風となっている。
最大のみどころはドーソン城に閉じ込められたゴルゴが脱出を試みるシーンだ。依頼していた脱出ヘリがこないシーンを皮切りに何度も窮地に陥るゴルゴ。読者ながらにこの状況をどう切り抜けていくのか心配になってしまう展開が目白押しで、窮地を脱する度に「そうきたか!」と感嘆すること間違いなし。派手なアクションシーンと最後の驚愕の結末も相まって、スッキリした気分で読み終えることのできる力作だ。

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小摩木 佑輔

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