この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第62巻収録。大手人材獲得会社の副社長・サミュエルは、ヘッドハントしたい人物の経歴を調べる過程で、国家機密に相当する秘密に触れてしまい、暗殺されてしまう。孫の不自然な死を調べる祖父のポッター会長は、大企業クライトン社による国家買収の陰謀にたどり着くのだった……。脚本:工藤かずや
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ゴルゴをヘッドハントすると
“ハンティング”と聞くと物騒だが、“ヘッドハント”となれば企業などが人材を引き抜くことを意味し、それを手がける人が“ヘッドハンター”となる。少し前から日本でも引き抜きを専門に行う会社が増えているとのこと。そうした会社から声がかかる人材になりたいと考えるのも当然だろう。
しかしどんな組織にも属する考えを持たないのがゴルゴだ。『ロックフォードの野望』『情報遊戯』のように、ゴルゴを引き入れようとした話があるが、いずれの誘いもきっぱり断っているだけでなく、囲い込もうとした組織や人物を確実に始末している。
ターゲットの正体を探る依頼人
ゴルゴへの依頼でターゲットが明らかになっていない話は少なくない。その多くでは『WHO!』『ナイトメア』のようにゴルゴ自身がターゲットを絞り込んでいくものの、本作では依頼人がターゲットを捜索する。苦心の末、ゴルゴにターゲットの正体を知らせるものの、途中で大きなミスを犯したことで依頼人は無残にも撃ち殺されてしまう。
ゴルゴの情報収集力を知っている読み手からすれば、「ゴルゴに任せておけばいいのに」と思ってしまうのだが、息子を殺された父親が老いの一念を込めてできるだけのことをしたいと考えたのかもしれない。
ターゲットの安らかな死に顔
ゴルゴの狙撃自体は簡単に終わっている。ターゲットが乗ったジェット機が離陸する直前、ゴルゴは窓越しにいつもの一発で決めており、むしろ依頼人の苦心を思えばあっさりしすぎているくらいだ。こめかみを撃たれて即死したターゲットは、「よくお休みのようだ」と部下が言うくらいに安らかな顔で眠って(死んで)いる。
自らの正体を探る依頼人を殺して終わったと思ったのであれば、情報収集機関のトップであり大統領直属のシンクタンクを運営するターゲットにしては詰めが甘かった。それとも戦友と一緒に自分自身の幕引きも演出したのだろうか。
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研 修治
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