この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第69巻収録。映画製作者のスコットは新作映画の制作費用を、石油王デローニと州知事候補のコナリーに頼ろうとしていた。が、デローニはコナリーの政敵にも資金援助していたため、コナリーが雇ったゴルゴに殺害されてしまう。スコットはそれをネタにコナリーを強請り援助を要請するが……。脚本:牧戸次郎
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役者は3日やったらやめられない
役者とナントカは3日やったらやめられないと言われるが、映画プロデューサーも3日やったらやめられない職業なのだろう。今エピソードの主役であるスコットも映画制作への執念は鬼気迫るものがある。と言うよりもほとんどビョーキである。
映画が好きというよりも映画をネタに金儲けにのめりこむ。そんな夫に愛想を尽かさないスザンナ。お嬢様育ちだろうに健気に夫に従い、最後には資金の融通まで実父に頼み込んでいる。男勝りの女性が活躍することが多いゴルゴでスザンナのような女性が描かれているとなんとなくホッとするものである。
実は映画好き?なゴルゴ
一方のゴルゴはかなり映画好きのようだ。『最後の間諜-虫-』では村まるごとを撮影するディレクターに扮し、『崩壊・第四帝国狼の巣』では敵の要塞を模したスタジオをわざわざハリウッドに作って予行演習をしたり、『ボリバルⅡ世暗殺計画』では長期間映画撮影に立ち会っている。
ただし今エピソードでは映画制作や撮影にかかわるゴルゴの姿は見られない。それどころかゴルゴの登場シーンはほとんどない。映画に関わる場面がないことでゴルゴが残念がっていたなら、ゴルゴが映画好きという仮説を補強してくれるのだが……。
ナナメなゴルゴファンにとってはたまらないエピソード
上述のように今エピソードではゴルゴの登場はほとんどない。したがって超絶技巧やアクションといった見せ場もない。2件の依頼をそれぞれ狙撃一弾で済ませている。純粋に狙撃やアクションを楽しみたい向きには物足りないだろう。
しかし、今回ゴルゴが刺身のツマかというとそうではない。ゴルゴがいたからこそ他の登場人物の織り成す綾が生まれ、物語が紡がれていく。それもゴルゴの魅力の一つで、ナナメなゴルゴファンにはこういったエピソードもたまらない。ところでターゲットの一人デローニは大型水槽ごと狙撃されているが、『双龍狙撃指令』にも水槽を撃ち抜く見事な狙撃シーンが登場するのでぜひ一読を。
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片山 恵右
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