この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第48巻収録。外交官一家殺害という任務を終えたCIAの女諜報員・レッドぺッパーは、KGBと地元警察の包囲網を突破するため、下町の安酒場へ紛れ込む。そこに偶然居合わせたゴルゴを只者ではないと見抜いたレッドペッパーは、ゴルゴと一夜を共にし追っ手のKGB工作員をゴルゴに始末させることを思いつく……。脚本:K・元美津
スポンサーリンク
ゴルゴの慧眼はさすがである
世界各地で娼婦とベッドを共にしてきたゴルゴの慧眼はさすがだ。“赤とうがらし”の「わたしを買って!」というセリフに「プロでもない女が……どうして身を売ろうと、する?」と切り返すゴルゴ。
『プレイバック』に登場するディアナも才色兼備のエリート官僚でありながら、娼婦のふりをしてゴルゴに誘いをかけたものの、即座に素人と見抜かれている。『三匹の女豹』のメリナもゴルゴの命を狙うために娼婦として接近して、口に仕込んだ特殊な武器であっさりと見抜かれ『スエズの東』のハンナのことも香水で急造娼婦と見破っている。

赤唐辛子というコードネーム
“赤とうがらし”である。儚げで弱々しい女性に似あわないコードネームだ。しかしソ連外交官一家射殺現場は“赤とうがらし”に似つかわしい。誰ひとり部屋から逃すことなく、5人全員の額を撃ち抜く腕前で、腕利きのエージェントであることが明らかだ。
しかも終盤でゴルゴに「あなたといっしょにいると……わたしは”女”になりきれた」というセリフから、“赤とうがらし”が女であることを捨ててエージェントに徹しているプロ意識が窺える。そこまでのプロ意識を持つ“赤とうがらし”が死への願望を持つに至ったのは、ゴルゴに“女”であることの喜びを思い出させられたからか。
最後の場面、ゴルゴは許したのか
大きな謎が二つある。“赤とうがらし”から正体について独白を聞いたもののゴルゴは何も行動を起こさない。そのまま霧の中で別れようとする。そのまま去っていけばゴルゴは許したのであろうか。これが一つ目の謎。
またゴルゴを隠れ蓑にしてまでKGBから逃げ回っていたのに、別れ際にわざとゴルゴに撃たれるように弾の入っていない拳銃を向けている。前段でも書いたが、この心変りの原因は明かされておらず謎のままである。しかしその謎がエピソードの余韻として利いているのだ。この手の味わいが好きな方には『海へ向かうエバ』の併読をお勧めしたい。

この作品が読める書籍はこちら

片山 恵右

最新記事 by 片山 恵右 (全て見る)
- ゴルゴ13:第211話『AZ4 CP72』のみどころ - 2021年11月14日
- ゴルゴ13:第410話『イリスク浮上せよ』のみどころ - 2021年6月11日
- ゴルゴ13:第283話『未来への遺産』のみどころ - 2021年5月20日