この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第197巻収録。北海道の自然を舞台に、ゴルゴと引退した警察犬との絆を描く一編。海運会社のミスで狂犬病を発症した犬と、その飼い主が北海道に上陸した。犬と飼い主の始末を請け負ったゴルゴは、警察犬のエースを伴い捜索に乗り出す。ゴルゴ流の動物愛に涙する一編。脚本:香川まさひと
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今回のパートナーはシェパード!
ゴルゴは仕事を遂行する上で慎重にパートナーを選ぶ。調達屋、情報屋、武器職人などなど。偶発的でない限り、パートナーに指名するのはその道のプロばかりである。今エピソードでゴルゴが指名したのは優秀な元警察犬、その名もエース。エピソード中に明記はないが、容姿からして犬種はシェパードと思われる。
日本における警察犬の犬種はシェパードのほかにドーベルマン、ボクサー、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバーなどがおり全7種が指定されている。ゴールデンレトリバーは人気作『黄金の犬』で主役として活躍を見せている。
余生なんてものは俺たちにはない
ターゲット追跡の道中で信頼と絆が深まるゴルゴとエース。見事ターゲットへの仕事を遂行した後、ゴルゴにギランバレー症候群が再発。崖から転落して気を失ってしまうゴルゴ。ゴルゴの窮地を救うために元警察犬エースが走る。
しかしながら、それが元でエース自身は致命傷を負うことになり、獣医から余生を過ごさせることを提案される。ゴルゴが発した「余生なんてものは……俺たちにはない……」は泣ける一言だ。獣医は「俺たち?」と訝しんでいるが、きっとエースの心に響いていることであろう。そして珠玉のラストシーンへ。
信頼できるパートナーを自らの手で
エースを自らの手で葬ってやることを決めたゴルゴは、エースと共に死に場所を探す旅へ。死地へ赴く道中からエースへの銃声、ゴルゴの感傷シーンまで6ページを費やしている。この間、ほとんどセリフはないが、ゴルゴからのエースへの信頼、エースからのゴルゴへの信頼が見事に描写されている。
プロフェッショナル同士の二人(と言って良いであろう)の絆がしみじみと感じられる名シーンである。もともとあまり言葉を発さないことで有名なゴルゴであるが、このシーンは寡黙さが物語を際立たせる。エースを弔った塚の上にゴルゴの魂ともいえる拳銃が供えられているラストが二人の絆の象徴となっている。
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片山 恵右
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