この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第9巻収録。アメリカはカリフォルニア州境。一仕事終えたゴルゴは地元警察の追跡をうけ、ひとまず“デス・バレイ(死の谷)”と呼ばれる不毛地帯へ逃げ込んだ。デス・バレイには金塊が隠されているという伝説があり、金塊を目当てに谷へやってきた人間が謎の失踪をとげる事件が多発していた……。脚本:K・元美津
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神に例えられるゴルゴ
ゴルゴの印象は度々何かに例えられる。『メイティング・マテリアル』ではカミソリのように鋭い目付きと言われるのはまだマシな方で、人間臭さを感じない機械と暗に人間ではないと例えられているのだ。『インディアン・サマー』ではピューマのような息づかいと今度は獰猛な肉食獣である。
そして本作ではとうとう「死神」と呼ばれ、神の領域にまで達してしまう。そんなゴルゴが本作で魅せるのは、もう一人の主人公・チャーリーの救出シーンである。彼が窮地に追い込まれた際、颯爽と現れるゴルゴはチャーリーからすれば救いの神といっても過言ではない、そんなゴルゴの痛快な活躍を堪能してほしい。
家族想いのチャーリー
登場人物で注目したいのは単身デス・バレイに乗り込もうとする男、チャーリーだ。財宝に興味を持たず、兄が生きていればそれでよしとする等、ゴルゴに掛かった賞金に目が眩みそうになる一面とは裏腹に無欲な男である。母のために兄の安否を確かめる家族思いの彼は、軽い印象を受けるシーンがあるものの憎めない奴なのだ。そんな彼が無事に兄を見つけられるのか気になってしまうことだろう。
そして外せないのはゴルゴとチャーリーを助けるウズマテ・インデアン達だ。レッド・ムースと呼ばれる初老の男性とインデアンの若い女性・ティナは、よそ者であるゴルゴとチャーリーに夕飯や酒をふるまうなど、親切にしてくれる。だがティナの旦那には驚かされること間違いナシ。彼女に隠された秘密にも注目だ。
思わず読み返したくなる作品
本作の物語はチャーリーが失踪した兄の手がかりを見つけるたびに真実へ近づいていく構成だ。最初の手がかりである水筒は彼が確かにここにいたことを確信するに至っている。みどころなのは思わず読み返したくなるそのオチだ。
最後の手がかりは彼が身に着けていたある物なのだが、その事実を知ったら思わず本作を読み返えさずにはいられないだろう。ラストでは『ROOM.No.909』と同様にゴルゴの捜索が打ち切られるのだが、彼を捜索するシーンは冒頭以外存在しない。そのため新鮮な気持で二回目を読み始めることができる作品になっているのだ。
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小摩木 佑輔
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