この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第9巻収録。麻薬のアジアルートを牛耳る謎の男“Q”をめぐるミステリー。CIAはQの抹殺を試みるが、ソ連の妨害により全て失敗に終わっていた。CIAの切り札としてビエンチャンに乗り込んだゴルゴは、CIAの美人工作員“ラオスのけし”と落ち合う。魅力的なキャラ、麻薬組織の将軍・リーの登場や、ゴルゴと肉体関係を結ぶ女性キャラの多数出演で読みごたえ十分の一編。脚本:森幸太郎、K・元美津
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4人中3人との情事シーン
登場する4人の女性のうち、3人と情事を繰り広げるゴルゴ。ハードボイルド色の強い初期作品ならではの展開だ。“フラミンゴ”があっさり殺害されなければ、彼女も含めて4人中4人の打率100%だったのではないかと下衆の勘繰りをしてしまう。
ただ、例によって女性の方は全員不幸になっている。おしゃべり娼婦はゴルゴに不愛想に出ていかれ、プライドを打ち砕かれる。フラミンゴはGRUに殺害され、イヴォンヌはLSDで廃人に。GRUの中国の美人工作員はゴルゴの逆襲で命を落とす。

手の込んだカクテル作戦
ゴルゴとイヴォンヌが相互認証のためカクテルに暗号名を忍ばせて、バーテンダーを困らせる場面が面白い。“シー・ドラゴン”も“ラオスのけし”も架空のカクテルなのでバーテンダーが戸惑うのも無理はない。
注文の後を引き継いで伝えるレシピも「ドライジン2オンス、ベルモット半オンス、それにライムを少し……」とあるが、ジンにベルモットとくれば、カクテルの王様マティーニのことだ。それにしても手の込んだ手順でコネクションを果たしたわりに、イヴォンヌの正体があっさりGRUにバレており、せっかくのカクテル作戦は失敗だったようで残念である。
CIAの女性工作員
CIAの組織力、資金力を感じるエピソードである。重要地帯であるとはいえ、ラオスの酒場にまで工作員をマダムとして送り込んでいる。コスト感覚が求められなかった古き良き諜報全盛時代を窺わせるエピソードだ。
残念ながらイヴォンヌの工作員としての能力を見ることはできなかったが、女性キャラクターとしてシリーズ屈指の妖艶さは読者を惹きつけてやまないであろう。CIA女性工作員としては『査察シースルー』の“スネークダンサー”や『ペチコートレーンの夜霧』の“赤とうがらし”がおり、それぞれタイプが異なり、ファンによって好みは分かれるところか。

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片山 恵右

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