この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第4巻収録。米国の偵察衛星が採取した機密情報の入ったカプセルがソ連に奪われる事件が発生。米国はソ連の政治家・モロトフが、公の場でカプセルの機密情報を暴露する計画を察知、モロトフの抹殺をゴルゴに依頼する。しかし狙撃直前、ゴルゴのもとにKGBのキニスキー大佐からの遺言が届けられ……。脚本:小池一雄
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登場からゴルゴ節全開!
本作のゴルゴは登場して早々にゴルゴ節全開だ。正体不明のサンタ依頼主の元から去ろうとするゴルゴだが大男のサンタが行く手を阻む。依頼主が彼の凄さを分からせようと「正体」を明かすのだが「おれのルールを思い出したのかい?」と皮肉り、格闘技で相手をねじ伏せる一連の流れが最初のみどころである。
また『ナチス鉤十字章は錆びず』では煮え湯を飲まされている防弾ガラスを依頼主が展開するも、機転を利かせたゴルゴの策によりこの状況を打破している。これだけでもお腹一杯なのだが、本作では更にドレスコードをビシっと決めるゴルゴ、後述のベルマとの情事、ゴルゴが下す意外な決断などなど、彼に関するみどころは山ほどあるといえるだろう。

サンタから始まる含みを持たせた物語が魅力
物語の冒頭、何の前置きもなくサンタ達から説明を受けるゴルゴ。もうこれだけ口元が緩んでしまうのだが、サンタの差し出すタバコを受け取らず自前のタバコを吸う際、サンタ達の表情がわざと似せて書かれているためシュールさを増す構図になっている。ゴルゴも「メリークリスマス」と爆弾をプレゼントする、報酬もサンタ袋に入っているなど、その徹底ぶりに読者はニヤリとなること間違いなしだ。
そんなサンタ尽くしの前半だが後半からは一転、世界大戦勃発の危機を防ぐためのシリアスな展開が待っている。ゴルゴが請け負った依頼の内容、決断は読者がそれぞれ解釈できるよう含みを持たせてあって前半、後半の一粒で二度おいしいエピソードといえるだろう。
美女ベルマとキニスキーの最後に注目
タイトル通り“シースルー”な登場をし、読者の度肝を抜く美女ベルマもみどころのひとつだ。彼女はことあるごとにゴルゴを挑発しては勝負を挑むもいいように弄ばれてしまう、とんでもない連絡員である。そんな彼女が提示する依頼達成後の「紳士の国のプレゼント」で雪辱を果たせるのかも気になる点だ。
さて、本作ではもう一人注目すべき人物がいる。そう、キニスキー大佐だ。『色あせた紋章』『ベイルートVIA』に登場していた彼が死の淵に瀕してなお戦争勃発を回避しようと奮闘する姿に胸を打たれることだろう。彼の最後の言葉がゴルゴの決断にどのような結果をもたらしたのか是非とも確認してほしい。

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小摩木 佑輔

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