この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第107巻収録。祖国イギリスに忠誠を誓い、同志的結合を旨とする組織「円卓の騎士団」。これまでも祖国に火急の危機が迫れば陰に陽に尽力してきた彼らだが、現政権が自分たちに対して法外な税金を課してきたことに立腹。現首相を操り、イギリス再編を謳うサッチャー元首相の暗殺を企図する。脚本:ながいみちのり
スポンサーリンク
ゴルゴへの依頼内容を推理する
依頼に応じて何らかのスナイプをゴルゴが完了させることの多いゴルゴシリーズ。しかし『遠い隣人』『リトル・ハバナ』のように依頼人や依頼内容が明確に描かれていない作品もある。
本作もゴルゴこそ登場するものの肝心の依頼人や依頼内容がぼかされており、それを推理しつつ読み進めることでさらに楽しめる内容になっている。読者がメインに追っかけるのはスコットランドヤートの刑事であるケンドリック。彼は3年前にようやく逮捕した犯人をゴルゴによって狙撃されてしまった過去があり、その復讐を誓う彼の視点で物語は動いていく。
ゴルゴを追いかける刑事の信条
犯人を狙撃された場面を夢みて跳び起きるまでになっているケンドリックだが、刑事としての立場は忘れていない。ニアミスしたゴルゴから、「俺に……かまうな」と言われたものの、「俺は“俺の仕事”をしているっ」と冷や汗をかきつつ言い切っている。
邪魔者を許さないゴルゴにケンドリックは殺されても不思議ではなかった。その証拠にケンドリックをフォローしていたMI6のチャーリーは撃ち殺されている(ゴルゴが殺したのかは不明)。ケンドリックの信条に想うところがあったのか。それとも単に排除するまでもない存在と考えたのか。
ターゲットは頑固なバァさん?
ゴルゴのターゲットや依頼人は物語の最後で明らかになっている。着眼点こそまずまずのケンドリックながら、結果的には大きく外してしまった格好。この辺りもゴルゴがケンドリックを泳がした理由なのかもしれない。ケンドリックがターゲットと見込んだのはサッチャー前首相(本作発表の1993年当時)。
しかし予定変更を拒否されたため、「頑固なバァさんだ」と嘆いている。故サッチャー首相には“鉄の女(Iron Lady)”の異名があった。2013年に亡くなっているが、存命中にはるか日本の漫画でこうした登場をしていると知っていただろうか。
この作品が読める書籍はこちら
研 修治
最新記事 by 研 修治 (全て見る)
- ゴルゴ13:第644話『心を撃て!』のみどころ - 2024年11月28日
- ゴルゴ13:第643話『怪力戦士イヴァノバ』のみどころ - 2024年11月11日
- ゴルゴ13:第642話『女の平和』のみどころ - 2024年10月1日