この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第82巻収録。屈指の人気を誇るスキーヤー、レイ・ファーマン。レースでの滑降中、彼のスキーがはずれ大転倒する大番狂わせが発生した。不自然な転倒に疑問をもった陣営のラリーは、VTRを専門業者に調べてもらう。すると滑降中にスキーの金具を狙撃されていたことが判明し……。
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トップスキーヤーの年収は億単位
日本ではオリンピックシーズン以外には注目を集める機会の少ないスキーサーキットながら、北米やヨーロッパではF1にも負けない人気スポーツだ。トップスキーヤーともなれば賞金だけで億単位を、さらにスポンサー収入を含めて10億円単位で稼いでいる人もいるのだとか。
冒頭で登場する少年が、「僕も、ワールド・カップの選手になるよ」、その父親が、「そりゃ、すばらしい事だ」と言うのも納得。
だからこそトラブルの種も抱えることになる。本作では有力選手のスポンサー争いを発端として、ゴルゴの出番が回ってくることになる。
ゴルゴに匹敵する腕前のスナイパー
本作に登場する東洋人のスナイパー。「百メートル先の蠅の目玉だって討ち抜ける」「間違いなく世界一の狙撃者」「不可能を可能にする男」などと評しているため、「ゴルゴだな」と読者は思ってしまうだろう。
しかしその後の展開でゴルゴではないことが分かる。それでも狙撃者を知ったCIA職員が、「問題だなあ」と嘆き、狙撃内容を聞いたゴルゴですら表情を変えたほどの腕前なのは事実。
『鬼畜の宴』のスパルタカス、『氷結海峡』のジョーら、ゴルゴに匹敵する能力を持つライバルは何人も存在する。この東洋人とゴルゴの直接対決を見たかった。
10年後にゴルゴが受けた依頼
本作を最後まで読み終えて気になることがある。最初の依頼、つまり高速で滑降するトップスキーヤーのビンディング(締め具)のみを撃つ依頼をゴルゴは完遂できただろうか、だ。
そうした依頼をこなせる人間の有無について相談を受けたCIA職員はゴルゴを想定しているため、おそらくはゴルゴでも可能だろう。
本作の約10年後、ゴルゴは『シャッター』で似た依頼をこなしている。ただし、素人スキーヤーが履いたスキー板の先端を撃って転ばせるだけと依頼内容としては数段簡単なものだ。その時、ゴルゴは本件のことを思い浮かべただろうか。
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研 修治
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