この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第38巻収録。富豪のロスマクドナルドとペテンセンは、退屈しのぎに超一流の狙撃者・スパルタカスにゴルゴを始末するよう依頼し、その世紀の一戦をTVモニターで見物するという遊びを思いつく。決着後、金持ちの道楽のダシにされたと知ったスパルタカスは、富豪二人の始末をゴルゴに依頼するのだった……。
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ゴルゴが最も敬意を表したライバルとは?
ゴルゴ13シリーズきっての人気テーマといえば、彼の出生の秘密に迫る「ルーツ編」だ。が、ゴルゴとライバル達との闘いを描いた「対決モノ」も多くのファンを魅了しているはずである。
ライバル達との闘いでは、敗れた相手に対してなんの感情も表さないことが多いゴルゴだが、相手によっては敬意を表すことがある。ではゴルゴが最も敬意を表したライバルは誰であったろうか。それは本作『鬼畜の宴』に登場したスパルタカスではないだろうか。
その名はスパルタカス
スパルタカスは超一流の狙撃者という役柄で登場する。ゴルゴを消すための仕事料として20万ドルを提示してきた富豪に、「50万ドルなら引き受ける」と間髪いれずに答えるあたりは、彼もまたゴルゴに対して敬意を持っていたことの表れだ。
ローマのコロッセオで対峙した二人は、互いに弾丸を使い果たす激闘を繰り広げる。ゴルゴに持ち弾をすべて使わせたライバルは、スパルタカスだけではなかったか。決着後、互いを称えあう場面はシリーズ屈指の名場面としてご紹介しておきたい。ちなみに『未来予測射撃』で対決したジョン・スミスには決着後、「名前を聞いておこうか」と声をかけている。これもまたライバルに対して敬意を表した貴重な場面といえるだろう。
ライバルの弔い狙撃も珍しい
依頼人に騙されたと知ったスパルタカスは、自身の財産300万ドルをなげうって富豪たちの始末をゴルゴに依頼する。ゴルゴへの依頼料の相場は10~50万ドルであるから、300万ドルは破格の依頼料といえるだろう。序盤に人間狩りやピラニア遊びなど富豪たちが行う非道の限りを描写しているだけに、依頼の一部始終をモニターで見ていた富豪たちの仰天ぶりは読者にとっては小気味好い。
これはゴルゴを罠にはめようとしたことに対する制裁であると同時に、戦友・スパルタカスへの弔いでもある。コーザ・ノストラの鉄壁のガードを受けていながら眉間を撃ち抜かれ、飛行機のタラップから転がり落ちる富豪たちの姿は見ものである。
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町田 きのこ
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