この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第107巻収録。業界No.1の腕前を誇る盗聴屋・ボイス。彼の盗聴で損害を被ったペイジは、報復のために盗聴を指示した黒幕の始末をゴルゴに依頼する。一方、ボイスはその会話も盗聴しており、ゴルゴの存在を知る。ゴルゴに興味を持ったボイスは、狙撃までの全局面を盗聴し、ゴルゴの犯罪を立証しようと企む……。
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単独で動くの盗聴のプロ
ゴルゴシリーズには情報の面からゴルゴを追い詰めようとする話がある。『システム・ダウン』では保険会社の調査員がゴルゴの連絡ルートを遮断し、『情報遊戯』ではデンマークのエリート集団がゴルゴの行動を監視した。
ただしそうした場合には集団でゴルゴに対峙することがほとんどで、殺し屋などがゴルゴに一対一で戦いを挑むのとは異なる面がある。本作で登場する守宮(やもり、英語でウォールリザード)と呼ばれる盗聴のプロは、犬やカラスの協力こそ得ているものの常に単独で行動しており、殺し屋達と同様に本物の“プロ”を感じさせている。
どこまでもいたちごっこの世界
本作では盗聴を生業とする専門家が運営する会社に、クライアントが訪れる格好で具体的な盗聴の手口を紹介している。最新の盗聴防止システムですら盗聴の専門家は、「丸裸にできますよ」と断言。
様々な手口を聞いたクライアントから、「プロにかかるとプライバシーは、存在しないのか?」と聞かれた専門家は条件付きながらも、「まあね」と答えている。本作が発表されたのは1994年。25年たった現在ならば盗聴の技術はもっと進歩していそうだ。そうした手段を使われれば一般人でプライベートを守ることは不可能だろう。
最後に見せたゴルゴの優しさ
銃声から狙撃現場を分析した守宮は、ゴルゴが持つ狙撃技術の高さに驚くとともに分析した情報を利用しようと企むものの、異様な雰囲気を察知したゴルゴに追い詰められる結果となってしまう。
最後は自らの用心深さが仇となり、ゴルゴに居場所を察知され殺されてしまうのだが、「どうして俺の居場所が、あんたにはわかったんだ?」との問いにゴルゴは視線で答え、「犬たちを殺さないでくれ」との願いを叶えて去っている。ゴルゴにしてみれば無駄弾を使いたくなかっただけかもしれないが、ゴルゴが見せた優しさと思っても良いのではないだろうか。
研 修治
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