この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第38巻収録。南アフリカ共和国のダーバン。この町には密輸業者レオの愛人・イレーヌがいたが、イレーヌに手を出したが最後、レオに命を狙われるため誰もイレーヌを口説こうとはしなかった。レオの暗殺を請け負ったゴルゴは、逆にイレーヌに手を出すことによってレオをおびき出す作戦に出る……。脚本:K・元美津
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知っているようで知らない国
アフリカ大陸には50か国以上の国がある。その中で南アフリカ共和国(以下、南ア)の知名度は上位に入るだろう。悪名高きかつてのアパルトヘイト(人種隔離政策)やラグビーワールドカップでの活躍が有名だが、実情やその変遷についてはあまり知られていないのではないだろうか。
そのあたりの南アの現代史を知るにはゴルゴが非常に役に立つ。今エピソードでは政治情勢は深く描かれないが、南アを舞台にした『ロベン監獄』『島悪魔の島影』『ドラゴン・バードへの実験』『錆びた黄金』と読み進めていくと南アの現代通史を辿ることができる。
ジミーという男、ミレーヌという女
ジミーという男は登場シーンからして思わせぶりに描かれているが、その割りにストーリー上何もしない。ただ伏線を張る役割をするだけの珍しいキャラクターである。制作過程においてストーリー変更が行われたのだろうか。ミレーヌはミレーヌで登場シーンは気の強そうな描写であるのに、じつは物憂げで悲観的な人物である。
『レディビッチ』のリンダと共通項がある。愛人という立場がそうさせるのか。『楽園の汚染』に登場するアンジェラは売春組織のボスの娘であるからか、二人のような物憂げさは見られない。サドっ気たっぷりにゴルゴに鞭をあびせるなど奔放であり、対照的な女性像だ。
獅子vs虎の対決
さて、タイトルの「セクシー・タイガー」である。タイガーは文字通り第一義に“虎”であるが、隠語・比喩で“暴れ者”“コワモテ”のような意味もある。今エピソードでは当然後者の意味で使われている。ターゲットがアダム・レオ・キンブル(レオ=獅子)なので、ストーリーの構図は龍虎対決ならぬ、”獅子”対”虎”の対決の図である。
ちょっとした洒落だが、タイトルが先なのか“レオ”への命名が先なのか。ちょっとした遊び心が楽しいゴルゴの”虎”に対して、レオが“獅子”足りえるキャラクターとは言えない小悪党なので、名前負けさせられていて気の毒ではある。
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片山 恵右
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