この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。選び抜かれた狙撃能力が高い兵士(選抜射手)とゴルゴとの決闘を描く対決モノ。アメリカ陸軍の名狙撃手・マークスマン。彼はヒットマンに命を狙われている元上官に請われ、ボディガードを請け負うこととなる……。脚本:ながいみちのり
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銃・射撃マニアは見逃せない技術解説
『落日の死影』同様、プロフェッショナル同士の一騎打ちを克明に描いた物語である。落日の死影は、近距離で互いの間合いをはかる、いわば武士同士が真剣を構えたような心理戦の要素が濃く、息詰まる雰囲気だった。
今作は、聞き慣れない「選抜射手」という役割と「狙撃兵」との違いの説明や、ゴルゴと対峙した場面でのマークスマンによる技術面や、気象条件の解説が興味深い。また、元隊長が山荘に保管している銃コレクションも、緻密な描写により迫力満点で、さすがは銃大国・アメリカである。これらの手入れも楽しみのひとつなのだろう。
マークスマンはバイアスロンに通じる
最近、冬季オリンピックに「**コーク、マック**」などハンバーガーショップのメニューのような技のチャライ競技があるが、最もオリンピック精神にふさわしいのがバイアスロンではないだろうか。
スキーで雪面を登る筋力と滑り降りる技術と伏射・立射姿勢での射撃術を組み合わせて競うバイアスロンは、静と動を巧みにコントロールできる心身の力が必要で、選抜射手に通じる。もしゴルゴが出場していたらぶっちぎりで金メダル間違いなしだろう。選手として出場し、途中入れ替わってミッション遂行などという話がないか楽しみにしている。
怖いもの知らずゆえの無茶振りプランB
至近距離でゴルゴに出会ってしまったレックス。『最終兵器小惑星爆弾』の「知らねえってのは恐ろしいもんだね」という、ゴルゴ旧知のデイブのセリフではないが、あのゴルゴを遠距離でスコープ越しに見るのと目の前に現れるのとでは迫力が違う。
あの太い眉と鋭い目元だけを柄にした手ぬぐいが販売されているが、朝、それで顔を拭いたら、寝ぼけ眼も一気に目覚めるに違いない。マークスマンのプランBはかなり無茶振りだった。ゴルゴの一にらみで早々にしっぽを巻いて逃げるレックスだが、マークスマンも苦笑いしつつ、許してくれることだろう。
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野原 圭
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