この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第82巻収録。ブラジル空軍の戦闘機が謎の墜落事故を起こした。黒人呪術「マクンバ」の祟りだと噂がひろがる中、兵士の士気が低下することを恐れた軍は、呪術師・ソロモンの暗殺をゴルゴに依頼する。一方、依頼現場を目撃した新聞記者のナンシーは、特ダネをモノにしようと奮闘するが……。脚本:K・元美津
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黒人の間で生まれた土着宗教
ゴルゴシリーズでは『VOO DOO』にてブードゥー教が登場する。これに匹敵する規模の黒人宗教がマクンバだ。ブードゥー教がアフリカなどカリブ海沿岸で広まっているのに対して、マクンバはブラジルなど南アメリカが中心。
土着宗教として多神教であったり他の宗教と結びついて複雑化したりしている部分では、日本の神道と似ている部分も多い。興味深いのは登場するマクンバの指導者であるバート・ソロモンだ。なかなかのカリスマっぷりを発揮しているが、毒針を投げる“秘技”を密かに練習しているそうで、どこか微笑ましいものがある。

吹き矢で殺した理由は?
ブラジルのアルメイダ将軍からバート暗殺を依頼されたゴルゴ。医者に扮して現地に潜り込むのの、目つきなどから早くも見抜かれてしまう。不思議なのはゴルゴの持ち物に銃やナイフなどが見当たらないこと。
結果的に吹き矢でバートを殺しており、おそらく捕虫網の柄を吹き矢の筒にした後、薬品に偽装した即効性の毒物を矢に塗布したのだろう。それでは当初から吹き矢での暗殺を考えていたのだろうか。将軍からの詳しい依頼は描写していないが、「バート(マクンバ)の権威を喪失させる死に方をさせて欲しい」と頼まれたのかもしれない。
無事だった女性ジャーナリスト
本作でキーパーソンとなる女性新聞記者のナンシー・ハート。ブラジル空軍に所属する飛行士の異常死を追いかけた彼女は、アルメイダ将軍によるゴルゴへの依頼現場を目撃しただけでなく去っていくゴルゴを写真に収めている。
これは非情に危険な行動で、「そんな奴にはかかわらない方がいいぜ」と同僚から忠告を受けるくらいだ。『ある女の視界』のフリーダや『オーバー・ザ・スカイ』のリンダのように現場を目撃しながら証拠を破棄して見逃されたジャーナリストはいる。しかしナンシーは写真を持ったまま。ゴルゴにしては甘い対応と言えそうだ。

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研 修治

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