この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第30巻収録。愛すべきキャラクター・おまゆが初登場。火盗改方の御用聞きとして活躍しているおまゆは、掏り師の市松小僧こと又吉を捕縛する。が、ひょんなことから又吉と恋仲となってしまい……。平蔵の粋な裁きが楽しめる痛快エピソード。2018年にコミック乱誌上で行われた「あなたが選ぶ劇画鬼平ベストエピソード」で第2位に輝いた人気作。
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江戸の治安を守る火付盗賊改方
平蔵が長官を勤める火付盗賊改方(ひつけとうぞくあらためかた)が本来対象とするのは、盗賊などの凶悪犯や賭博など。ただし町の治安を取り締まる意味で、軽めの犯罪を担当することもあったらしい。
そのためか『蛙の長助』『女掏摸お富』など掏摸が登場する話はいくつもある。本作で登場する市松小僧も掏摸の常習犯で、腕に三本の入れ墨があるように描かれている。
平蔵が、「今度御用になれば、定法により、死罪だ」と語っているように、軽犯罪でも常習犯には容赦のない時代。そんなところに出会ったおまゆは、まさに女神様か観音様に違いない。
女性の十手持ちっていたの?
そんなおまゆは女性ながらも平蔵から十手を預かっている。そこで気になるのは、本当に女性の十手持ちがいたかどうかだ。
本作に限らず、『銭形平次』『半七捕物帳』などでも、やたらと十手を見せつけている場面がある。しかし実際の役人達は十手を慎重に取り扱ったらしい。まさにお上からの預かり物なのだろう。
一方で女性の身ながら、同心や与力の下働きを務めた人もいたとのこと。本作に登場するおまゆのそっくりそのままではないものの、何がしかのお役目を果たした人がいて、そんな女性達がおまゆのモデルになったのかもしれない。
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ノミの女房兼姉さん女房
おまゆは平蔵よりも背が高く、体重は二十貫(約七十五キロ)。さらになかなかの美女で、現代ならアスリートかモデルだろう。一方の又吉は小柄な体格だ。
そんな又吉が、「おふくろみてえな匂いがする」と言って、おまゆの手のひらをペロリと舐めた後、「ごめんよ」と言いつつ押し倒していくのは滑稽と言うよりない。一刀流の切紙(目録)を持ち、柔術の修行をしているおまゆも押しの一手には弱かった。
もうすぐ二十三となるおまゆに対して又吉は、「もうすぐ二十歳」とのこと。本作はおまゆが妊娠したところで終わっており、その後の幸せを祈るばかりだ。
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研 修治
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