簡単なあらすじ
ワイド版第50巻収録。彦十と遊び仲間の茂兵衛は初鰹をくすねるため、料亭の料理人・松吉を抱きこもうと画策する。しかし、この松吉が盗賊の元手先であったことから物語は思わぬ方向へ……。ひさびさに平蔵が悪徳浪人に扮し、盗賊団に潜入するエピソード。
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爺さんたちの悪だくみ
彦十と茂兵衛の悪友が何やら画策しているようだ。すっかり爺さんの面相になった二人のこと、大した悪事を働く事はなさそうだがはてさて。どうやら流れ板前の松吉に手引きをさせて、初鰹を食べようという魂胆らしい。
盗賊への警戒から爺さん達の下へ鬼平が居座ってしまい、困った爺さんたちは鬼平を何とか役宅へ戻そうとするも上手く行かず。爺さん二人組は無事に初鰹にあり付けるのだろうか。
盗賊が登場するストーリーではあるが誰かが傷付くような事もなく、どことなく心温まる話に仕上がっているぞ。彦十ファンの方にはぜひお勧めの作品だ。
日本橋魚河岸
世界で最も大きな魚市場といえば近年に移転をした豊洲市場だが、移転前は築地に魚市場があった事は記憶に新しいと思う。築地の魚市場は大正12年の関東大震災後に移転をしてきたもので、もともと魚河岸は日本橋にあったのだ。
現在の地名で言うと、日本橋室町1丁目から本町1丁目に掛けて広範囲に市場があったと言われるぞ。日本橋魚河岸の面影はあまり残っていないが、跡地を巡る散歩も楽しいかもしれないな。
日本橋駅もしくは三越前駅で下車をして、日本橋を目指そう。中央通りに掛かる日本橋の川沿いに日本橋魚河岸は開かれていたぞ。昭和通り沿い、江戸橋までの日本橋川流域に船が着いて、新鮮な魚介類などが販売されていたようだ。
史跡としては東京都中央区室町1丁目8番に日本橋魚河岸跡がある。日本橋の北詰にある乙姫の広場と呼ばれる小さなスポットがそうだ。石碑も残っているので、日本橋巡りのポイントとしておさえておくのも面白いだろう。
初鰹の食べ方
初鰹は旧暦の4月に出始める物で、時期で言えば初夏にあたるぞ。俳句の季語も細かく分かれているので興味深いのだが、初鰹は初夏、鰹は夏、戻り鰹は秋の季語になっている。
現代では鰹の食し方で最も一般的なのは鰹のタタキであろうか。表面を炙った鰹を大皿に切り並べ、ネギやショウガ、ニンニクなどの薬味を供して食す。素晴らしい魚料理だな。ところが江戸時代、初鰹を江戸市民はどのようにして食していたかと言えば、それは刺身だ。
更に調べてみると鰹の刺身に使った薬味は辛子が一般的のようで、これは試した事が無かったので次のシーズンでは是非ともチャレンジしてみたいと思ったぞ。初鰹は女房を質に入れても食え。なんてことわざが残るほど、江戸市民にとっての初鰹という物は特別な代物だったのだな。
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滝田 莞爾

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