この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第18巻収録。休暇を利用して熱海にやってきた平蔵、久栄、五郎蔵、おまさ、彦十の一行。投宿先で彦十は、昔の盗賊仲間・馬蕗の利平治と再会する。利平治は”ある宝物”を隠し持っており、それを狙う盗賊一味に追われていた……。平蔵が盗賊の親方に扮し利平治を救う。密偵・利平治の初登場エピソード。
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ひと月に渡る熱海湯治
京極備前守より骨休めを半ば命じられた鬼平。久栄と密偵たちを連れての温泉旅行も、女性陣は既に飽き飽きの様子だ。旗本らしく本陣には逗留せず、身分を隠しての旅行というのはいかにも鬼平らしいではないか。
海釣りに夢中の彦十が見かけた顔なじみの“嘗役(なめやく)”、馬蕗の利平治を中心に進んで行く話だ。間取り図などを記した利平治の嘗帳こそが盗賊たちの狙うお宝。そのお宝を巡って、身分を隠した鬼平と盗賊たちとの駆け引きが見どころの作品だろう。
宿場町でのお楽しみ
熱海から江戸への帰路、おまさと久栄の二人はお土産品を物色するのが楽しそうだ。色々なお土産を眺めて購入する事が女性たちにとっては、旅行の楽しみの一つなのだろう。男性はといえば、もちろん鬼平や密偵たちの話ではなく盗賊たちの描写ではあるが、湯女とお楽しみのご様子だ。
銭湯で客の垢すりや髪すきを行う女性を湯女という。まぁ、江戸時代である。垢をすっている間に恋愛感情が生まれたかどうかは定かではないが、何故か男女の関係になってしまうのが江戸時代のお約束だ。宿場町では男性も女性も、大いに楽しんだ事だろう。
このお方をどなたと心得る
盗賊一味と激しいアクションの末、地元の奉行とも協力しての捕縛だ。身分を隠しての大捕り物。断末魔とも言える盗賊たちの申し出に対して、初めて身分があかされる展開。まるで時代劇で印籠が出されるような、それとも見覚えのある入れ墨が肩口に見えたのか。
この爽快感こそが時代劇の楽しさではないだろうか。鬼平の正体を知った利平治はさぞや驚いただろう。利平治は鬼平の下で活躍する事になるのだが『殿さま栄五郎』『妙義の団右衛門』などの作品もおすすめだ。老いた元盗賊の利平治に魅力を感じた方は是非手に取ってほしいぞ。
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滝田 莞爾
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