この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第31巻収録。昔、捕縛し損ねた悪党を尾行する平蔵。しかし、その平蔵を尾行する一人の男がいた……。第9巻収録『高杉道場三羽烏』に登場した長沼又兵衛の息子・間宮新次郎が登場。新次郎は執拗に平蔵との立会いを所望するが、その真意とは一体……?
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辰蔵と弥太郎のいたずら
火付盗賊改方の長官となっている平蔵。本所深川(墨田・江東区あたり)に役宅を与えられていると同時に目白(豊島区)にも本宅を構えている。そこの留守を預かっているのが長男の辰蔵だ。
「小人閑居して不善をなす」の格言通り、辰蔵と悪友の弥太郎は蔵から掛け軸2本と茶器を持ちだして、「一両は借りられるよ」と質草にしようとする。その目的は女郎遊びなのだから開いた口がふさがらない。
『礼金二百両』で平蔵は、「目ぼしい書画骨董はあらかた売り払うてしもうた」と明かしているが、こうした安めの品はまだ残っているようだ。
三羽烏の息子は四天王
その後に罰の意味を込めて辰蔵と弥太郎に木刀で稽古をつける平蔵。
弥太郎はあっけなく打ちすえられてしまうのだが、辰蔵は平蔵と木刀を合わせただけでなく、わずかに平蔵を引かせてもみせる。
「少しは腕を上げたようだな」と平蔵が言うと辰蔵は、「市ヶ谷・坪井道場で今では“四天王”と呼ばれています」と応える。
その後に少しは勝負らしき格好となるものの、結局辰蔵は胴を打たれて平蔵に「まだまだ青い」と言われてしまう。高杉道場の三羽烏と坪井道場の四天王では三羽烏が圧勝のようだ。それとも本当に“女遊びの四天王”だったのだろうか。
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盗賊の息子は盗賊にあらず
本作に登場する間宮新次郎は左馬之助ですら、「気をぬくと、三本に一本は取られる」ほどの腕前。そればかりでなく平蔵から怪しい人間を尾行していると聞くと、すぐに謝って協力する道理をわきまえたところも持っている。
そんな間宮新次郎は『高杉道場三羽烏』に登場した長沼又兵衛の甥であったことが左馬之助から知らされるが、物語の最後に本当は実の息子だったことが明かされる。
一刀流の伝書を盗んで逐電し、その後盗賊となった長沼又兵衛。その血を引いた間宮新次郎がここまで真っ直ぐに育つとは、やはり育ち方が肝心なのだろうか。
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研 修治
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