この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第63巻収録。政界スキャンダル絡みのスクープ写真を、次々とモノにする女性カメラマンのキム。物語はキムにスクープされたことが原因で失脚した政治家が、殺し屋を雇いキムを亡きものにしようと企む。が、キムに差し向けられた殺し屋が、ゴルゴのターゲットだったため……。脚本:沖吾郎
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キムはなぜパパラッチになったのか
キムは身もふたもない言い方をすれば、スクープカメラマン=パパラッチである。しかしながらその容姿やファッション、伸びやかな性格は女子大生のようであり、とてもパパラッチをやるような女性には見えない。
どのような動機や経緯でパパラッチになったのか気になるし、デートでのウキウキぶりを見る限り、職業に貴賤はないとは言え、やはりなぜパパラッチに?と思わずにはいられない。そのキムのデートでのウキウキぶりが伝染したのかゴルゴも「もう十分にご馳走になったし……楽しませてもらった……」と珍しくまんざらでもない様子を見せる。

女性カメラマンの登場回数には偏りが
ゴルゴのオールドファンには耳新しいことではないが、ゴルゴには多くの女性カメラマンが登場する。際のカメラマンの男女比は不明であるが、感覚的には少し偏りが感じられる。
『遺作』のエレーナは狂気じみたゴルゴへの撮影欲からゴルゴに狙撃され、『ゼロ・エミッション』ではテスト段階の新型自動車を盗撮するミス・クライトンがゴルゴと対峙することになり狙撃されている。言うまでもなく、いずれも撮影には失敗。ただし『ある女の視界』のフリーダは撮影に成功するも自らネガの処分を告白し、ゴルゴに許されている。
シャッターチャンスを演出するゴルゴ
女性とベッドを共にする時(のみならず)、部屋のカーテンを開けっ放しにすることなどゴルゴにはあり得ない。ところがキムを狙う殺し屋を誘き出すためにカーテンを開け放ち、シャッターチャンスを演出している。遡ると、駐車場でキムを助けた日は無言で立ち去ったゴルゴなのに、翌日ばったりと会ったキムからの再度の誘いにはあっさりと応じる豹変ぶり。
つまり一夜の間にゴルゴに依頼が入ったか、もしくはキムを狙う殺し屋の性癖について情報がもたらされたのであろう。真相は劇中では明かされないので、読者はそれぞれの推理を巡らすことができて楽しめるというわけだ。

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片山 恵右

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