この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第21巻収録。盗賊の雨隠れの鶴吉は、屈指の大店・万屋の主人が愛人に産ませた子で、屋敷を飛び出して十有余年。江戸を訪れた鶴吉は、久々に父・源右衛門と再会を果たす。屋敷に招かれ歓待をうける鶴吉だったが、使用人の中に音五郎という引き込み男がいるのを発見する。自らの身分を明かし、火盗改方に助けを請う鶴吉だったが……。
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高杉道場の同門、井関録之助
現在は世を忍ぶ坊主姿で過ごしている録さんの登場だ。愛嬌のある録之助は『本門寺暮雪』で登場してから、非常に高い人気を誇るサブキャラクターのひとりだぞ。
甘酒屋を営むお福なるふくよかな女性が、奉公していた万屋の若旦那と再会する事から始まるストーリーだ。その事を録之助に報告すると共に、若かりし録之助の物語が展開される。
妾腹の子として辛い人生を送ってきた鶴吉。乳母として懸命に鶴吉を育てたお福、そして録之助との関係が描かれている。録之助ファンには絶対に外せないエピソードだろう。録之助のはじめて物語もみどころだ。
大旦那に再会させたいものの
お福としては鶴吉を万屋の大旦那に会わせたいものの、どうやら鶴吉が江戸を出た理由は火付けにあったそうで。ところが録之助からの申し出からにより、当時の火付け調書を調べるものの記録が残っていなかった訳だ。
罪人としての登録はなかったものの、喜ぶ録之助に対して鬼平の表情は困惑気味だな。晴れて万屋に里帰りする事が叶った鶴吉。万屋は茶問屋の大店で、間口十五間あるそうな。
一間が約1.8メートルだから、十五間ならば27メートルにもなる。店を正面から見て、その幅が30メートル近くもある店ともなれば、その大きさや繁盛ぶりも想像できるだろうか。
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盗賊ゆえに分かったこと
実の父親と会う事ができ、江戸に思い残す事もなさそうな鶴吉夫婦ではあった。しかし万屋に逗留している間に見かけた一人の男から、物語は急展開を見せるぞ。
盗賊だからこそ知る事が出来た、万屋に入り込んでいる引き込み男、貝月の音五郎の存在。実の父親を兇賊の手に掛けさすまいと考えあぐねた鶴吉は、録之助を頼りにする。
そして頼られた録之助の、鬼平にすら断じて情報源を明かさぬ態度。
録之助の男気を感じられるな。物語は綺麗に収まるのだが、やはり恐るべきは全てを見通していた鬼平の観察眼だろうか。
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滝田 莞爾
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