この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第54巻収録。小間物屋・若松屋の前で行き倒れになった男・吉蔵。吉蔵に亡き父の面影をみた女将のお道は、食客としてしばらく滞在させる。吉蔵は若松屋の娘・お光が浪人に乱暴されているところを助けるが、瀕死の重傷をおってしまう。死の床で吉蔵が口にしたのは、お道の父親が殺害された事件に関する”ある秘密”だった……。
スポンサーリンク
行き倒れの男
素性の知れない者に手当てを施して面倒を見るなんて大変だ。そう思う方も多いだろう。現代ですら他者に施しを与える事は難しい訳で、江戸時代ともなればそんなお人好しはいないのでは、と思われるのも仕方の無い話だと思うのだ。
ところが江戸時代には、行き倒れた旅人を救助する事が当たり前だったという。治安維持を目的に幕府が御触れを出している事から、江戸市中においてもその御触れの存在は周知されていたと見るのが妥当だろう。困っている人を助ける事は、何も恥ずかしい事ではないのだ。
江戸時代から日本人が持っている当たり前の感覚なのだから、この素晴らしい文化が続く事を願うぞ。さて本作では、行き倒れた男を商家にて救う事から始まるストーリーだ。男の素性、男の過去がどのようにして鬼平犯科帳の世界観と相まって行くのかが楽しみだな。
食客と居候のはなし
助けられた武士と思しき老人は、何の所縁か商家のお世話になる事に。寝床と食事を提供してもらって、代わりに家事や商家の手伝いをするという、食客といった身分だな。では食客とは何だろうか、日本に伝わる文化なのか。といった疑問が沸き上がる。
元々は中国の戦国時代に広まった風習とされるのが食客だ。家来でも血縁でもなく、自らを最も評価してくれる君主に仕える者も多かった。賃金や給金といった物を受け取る仕組みはなく、あくまで客待遇で養ってもらう立場だったそうな。
一芸に秀でていた事の多かった食客は、時として君主のため共に戦ったりもした。つまり当時の君主にとっては、傭兵のような扱いもあったのだろう。時代劇では江戸時代に、商家や道場などに滞留する者を食客と表現する事がある。
ここでいう食客は、現代の言葉でいうと居候に近い意味合いとなるのだ。たしかに食客の中には義侠心を持った者も少なくなかったという。なので物語の題材としては取り扱いがしやすかったのかもしれないな。
知る由のないこと
素性の知れない食客身分の者が、助けてもらった人への恩返しをする、というストーリーは人気の高い物だ。本作も筋としては恩返しに類する物となるだろう。男が過去を告白する場面はいささか急展開の感も否めないが、鬼平が長い間気に掛けていた事件の真相を知る手がかりにもなったと考えると合点が行く。
人と人との縁は不思議な物で、偶然が織りなす奇跡的な出会いなんてのは、そこらへんにあるのかもしれない。我々はしっかりと縁を認識して、良縁を大事にしていきたいものだ。本作では結局、過去の事件の真相は闇の中となってしまう。それでも死に場所を見つけられた男の気持ちを思えば、この結末も悪くないと感じたぞ。
この作品が読める書籍はこちら
滝田 莞爾
最新記事 by 滝田 莞爾 (全て見る)
- 鬼平犯科帳 漫画:第265話『同門の宴』のみどころ - 2022年9月9日
- 鬼平犯科帳 漫画:第48話『おしま金三郎』のみどころ - 2022年9月5日
- 鬼平犯科帳 漫画:第67話『殺しの波紋』のみどころ - 2022年9月1日









ゴルゴ13のナビゲートなら当サイトにおまかせ! 自他ともに認めるゴルゴ好きライター陣が、おすすめ作品のみどころを熱く語ります。これであなたもベスト・エピソードに一発アクセス!






















