この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第22巻収録。絶世の美女と謳われる女賊・猿塚のお千代が登場。大店・大坂屋の手代・幸太郎をたらしこみ、店の間取りを聞き出すお千代。しかし、幸太郎の父親は平蔵とも親交があり、”その道”では知られた盗賊の頭・瀬音の小兵衛だった……。
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盗人酒屋のなじみ客
瀬音の小兵衛は引退した老盗だ。若かりし頃の鬼平が本所で悪さをしていた頃に通っていた居酒屋が盗人酒屋。今や密偵となって活躍をしているおまさの父親、鶴の忠助が営んでいた酒屋だな。
本所の鬼銕と恐れられていた平蔵も若いころに世話になった本格の盗賊たちを思い、そして今の正義があるのかもしれない。盗人酒屋の常連であった小兵衛が、隠居先から江戸に出てきた裏には理由があったぞ。息子が悪い連中に踊らされてしまったとの事。昔馴染みを救うべく鬼平が動き出す。
女の色香を巧みに
小兵衛の息子、幸太郎はこともあろうに猿塚のお千代なる女賊の手に落ちてしまったようだ。鬼平犯科帳には多くの女賊が登場するのだが、そのほとんどが引き込み役や牝誑しといった役割になるのだ。
しかしお千代は他の女賊とは全く異なった性質を持っていたぞ。自らの身体を武器に誑し込むのではなく、手下を手懐けていたというから恐ろしい。
幸太郎がお千代に全てを捧げてしまったように、手下の男どももお千代の色香の虜となっていた訳だ。色香、つまり女としての魅力を最大限に使って、手下を洗脳していたという事だな。
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血を分けた父子の尊さ
お千代に心まで捧げた兇賊どもではあったが、鬼平の剣術の前には成す術もなく散っていったな。そうなれば観念せざるを得ないお千代という事で、醜態を晒すよりも美しく散りたかったのかもしれない。
拉致されていた幸太郎も無事救出され、辛い生活を強いられてきた幸太郎の未来も明るくなることだろう。これも全ては本格の盗賊で筋を通してきた小兵衛の生き様のおかげではないだろうか。
さて、お千代は四十路過ぎとは思えない色香を放っていたそうな。江戸時代では相当の年齢となるが、いやまだまだ女盛りとは言うではないか。男性諸君は、お千代のような魅力的な女性に引っ掛からないように気を付けたいものだな。
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滝田 莞爾
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