この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第30巻収録。阿呆烏(娼婦の斡旋業)の弥吉は、裕福な若侍が二人の男に殺害される現場を目撃する。数日後、大身旗本の近藤家に届いた一通の脅迫状。差出人「夜狐」の正体とは一体……。世継ぎ争いに潜む闇を平蔵が暴く。
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大身旗本のお家騒動
吉原の遊郭近くで、若い侍が二人組の侍に殺害される。その現場を目撃していたのが夜狐の弥吉であった。阿呆烏であり、髪結いの亭主でもある弥吉、いわゆるヒモ男でどうにもならない奴だ。街で偶然にも二人組の侍を目撃した弥吉は尾行をして、大身旗本と侍との関連を睨むぞ。
先読みも苦手で単純な男、3000石の大身旗本に強請りを掛けるという大胆な手段に打って出る。ところが強請ろうにも、字も書けない弥吉がふと思い浮かべた人物がいた。腕っぷしが強く学もある、長谷川平蔵その人だった。跡取りを亡き者にして実子に家督を継がせる策略に対し、我らが鬼平はいかなる強請りを掛けるのか。
武家のお財布事情
鬼平犯科帳には数多くの旗本が登場する。しかしなぜ旗本をはじめ武士は、こうもお家を大切に守ろうとしたのだろうか。旗本は江戸幕府という会社に勤めるサラリーマンとも考える事が出来るな。ではその賃金はといえば、100石の旗本で年俸600万円くらいと言われているぞ。
長谷川家400石ならば年俸2400万円ほど、本作の近藤家3000石ならば年俸1億8千万円にもなる訳だ。なるほど、それだけの安定収入が見込めるならば、お家騒動が起こるのも頷けるな。地位と名誉と銭とが揃った武家社会。現代にもそうした物があるとの噂もあるが、果たして真相やいかに。
お白州で夫婦漫談
大身旗本を強請った罪でお白州に引き出された弥吉夫婦。白州の場でも阿呆らしくマイペースだ。お白州は本来、厳格な場ではあるのだが、この夫婦にとってはそうした意識はないのだろう。
裁く側にある与力や同心たちも、悪乗りをして夫婦を脅してからかう。ここまでリラックスしたお白州はまず他のストーリーでは見る事がないかもしれないな。まるで夫婦漫談が披露されたお白州での裁きも見どころだ。
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滝田 莞爾
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