この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第8巻に収録。平蔵の剣友・井関録之助が、昔、自分を切っだ凄い奴゙を発見した。平蔵の助けを借り、2対1で立ち向かうが、先に録之助が倒れてしまう。恐るべし最強剣客とのタイマン勝負に平蔵は……。平蔵の愛犬・クマが華麗に初登場。
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盟友・井関録之助が登場
平蔵が旧知の宅へと訪問する際、托鉢姿の井関録之助と出会う。平蔵が若かりし頃、高杉道場で研鑽していた頃からの付き合いとなる録之助。もちろん一刀流を修めた剣客だ。
剣客としても実力十分の録之助であったが、抜刀する事もままならず、ただの一刀で背中を斬られた過去がある。録之助の背中を斬った者こそが本作での刺客“凄い奴”であり、その身のこなしからも尋常な剣客ではない事が伺える。
偶然見かけた“凄い奴”を尾行をしていた録之助であったが、いつの間にか逆に尾行をされる側へと立場を変えられてしまう。なぜなら“凄い奴”の狙いこそが録之助の命であったからだ。録之助は平蔵の助太刀を得て“凄い奴”と対峙する事になるのだが……。

闇の住人とその掟
作中でほぼ無言の凄い奴ではあるが、ほんの少しだけ発する台詞から、凄い奴は仕掛人である事が推測できる。仕掛人とは一言でいえば暗殺者と考えると分かり易いだろうか。金で依頼を請けてターゲットを暗殺する事を生業としている者の事で、鬼平犯科帳にもたびたび登場する。
仕掛人を取り巻く掟は非常に厳しく、仕事を仕損じたり反故にした者へは死が待っている。録之助は一度請けた依頼を反故にした過去があり、本作では闇の掟に従って暗殺される対象となっているわけだ。
決着をつけるべく“凄い奴”を本門寺へ誘導した平蔵と録之助は、門前の茶屋で決戦前の一息。江戸名物のくず餅を食し、茶屋の犬を愛でてから決戦へと向かう。じつはこの茶屋の場面でも作者の遊び心が隠されているので注意されたい。
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激突!最強剣客vs鬼の平蔵
時代劇画の醍醐味はなんといっても斬り合いだ。強い剣客であればあるほど読者の興味は尽きない。では鬼平犯科帳シリーズ史上、最強の剣客はだれであったか? それは本作で登場する“凄い奴”であることは間違いないだろう。
“凄い奴”の斬撃は録之助を石段下まで転げ落ちさせるほどの衝撃だ。一瞬にして次なる獲物、平蔵へと襲い掛かる“凄い奴”。大刀を弾き飛ばされた平蔵は、脇差一本で戦わねばならない絶体絶命のピンチに陥ってしまう……。
圧倒的な強さを誇る剣客との対決の行方はいかに。結末は池波作品らしい“ひねり”の効いたものとなっているが、伏線は中盤にある。読者の何人がこの伏線にお気づきになるだろうか。

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秋山 輝

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