簡単なあらすじ
ワイド版第19巻に収録。一度もお縄にかかったことがない伝説上の大盗・蓮沼の市兵衛が登場。壁川の源内一味から畜生働きの助っ人を要請されるが、本格の盗賊である市兵衛は断固拒否する。断った報復として、息子同然だった繁蔵を殺された市兵衛。源内一味30人に対し、たった5人で仇討ちを決行する市兵衛一家に、平蔵は助っ人を買って出るが……。
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盗賊界の生き字引、馬蕗の利平治
特徴的な密偵たちが揃う鬼平犯科帳の中でも、非常に人気の高い密偵が『熱海みやげの宝物』に登場した馬蕗の利平治だ。『殿さま栄五郎』などの作品でも利平治の活躍を読む事が出来るぞ。なかなか活躍出来ないと悩む利平治だが、亀の甲より年の功だろうか、盗賊たちの顔を見分ける能力が他の誰よりも優れているのだ。
つまり、それだけ古くから多くの盗賊と付き合いがあった訳だな。今回、誰かに斬られて担ぎ込まれた男が盗賊である事を見抜いたのも利平治だった。松戸の繁蔵という盗賊がなぜ斬られたのか。繁蔵からつながる盗賊同士の抗争、そして復讐を描いた作品だ。
正義の鬼平、悪党の顔に戻る
盗賊同士の抗争と考えるも、有効な手立てがない状態だ。姿の見えぬ大盗賊、蓮沼の市兵衛に捜査の手を伸ばすためにも、何か策が必要だった。そこで鬼平が思いついた策こそが、鬼平だけではなく密偵たちも全員が昔の悪の顔に戻る事だった。
今もまだ無頼を続けていると思い込ませて、盗賊の懐に潜入する作戦だ。本所の鬼銕を頭に、彦十、粂八、おまさ、五郎蔵、最強の盗賊軍団が誕生するぞ。繁蔵を斬った兇賊への復讐、良いとも、義によって助太刀いたそう。
目指すは三好町の人足宿
日付は十二月十四日、赤穂義士が吉良上野介邸へ討ち入った前日だ。繁蔵の仇を討つべく向かう先は本所松坂田ではない、三好町の人足宿。忠臣蔵になぞらえて、蓮沼の市兵衛と鬼平を筆頭に人足宿へと討ち込みをするのだ。
鬼平と密偵たちの大暴れは、まさにアクション劇画の醍醐味だ。所狭しと悪党と義士との立ち合いが繰り広げられる。鬼平たちに負傷者は出なかったものの、市兵衛一味は大きな痛手を負ってしまったか。しかし鬼平の温情も含めて、ハッピーエンドとして結ばれたと思うのだ。
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滝田 莞爾

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