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簡単なあらすじ
ワイド版第18巻収録。第十巻『用心棒』の高木軍兵衛が再登場。小悪党の佐吉から、大盗賊・彦島の千右衛門の殺害を依頼された軍兵衛。引き受けたふりをして、早速、平蔵に報告する。大ホラ吹きの軍兵衛が念流の免許皆伝と称して活躍する、笑いを誘う一編。
大ボラ吹き軍兵衛
鬼平犯科帳の大ボラ吹きといえば高木軍兵衛だろう。巨漢ながらも気弱で見掛け倒しのエピソードは『用心棒』『おしろい猫』などでも見る事が出来るぞ。本作も例の如く、軍兵衛の大ボラ吹きストーリーだ。
豪傑さながらのその見た目から、またもや悪党から見染められた軍兵衛。盗賊頭の殺害を依頼された軍兵衛、得意のホラ吹きで窮地を脱するのか。鬼平とホラ吹きとの掛け合いも楽しい作品だな。
出るわ出るわ、口から出まかせ
本作の見どころとしては、やはり軍兵衛の大ボラの数々だろう。剣術の腕もホラを吹き、持っている刀にもホラを吹き、料理屋の名前が出ればまたもやホラを吹く。味も分からぬ酒を飲んでもホラを吹き、魚を食べてもホラを吹く。
盗賊たちは軍兵衛のホラを信じて大感心。一方で、鬼平の手下や密偵たちは大笑い。それを堪える場面も笑いどころだ。盗賊たちの痴話喧嘩と軍兵衛の大ボラの織りなす結末には、さしもの鬼平も苦笑いといった感じだろうか。まさに男女の好みという物は不思議なものだ。
本所弥勒寺の笹や
軍兵衛の登場するストーリーには、お熊婆さんが付き物だ。鬼平もたびたび通る、お熊婆さんの営む茶屋“笹や”は本所弥勒寺の門前通りにある。江戸時代とは弥勒寺の敷地面積が異なるのだが、現在も弥勒寺は同じ場所にあるぞ。都営地下鉄森下駅から清澄通りを両国方面に進んだ右手が弥勒寺の場所だ。通りから一本入ったところに弥勒寺がある。
更に清澄通りを進めば堅川に掛かる二之橋が見えるだろう。本作には登場しないが、軍鶏鍋屋五鉄のあった場所も二之橋を渡った場所にあるとされるぞ。江戸時代に軍兵衛や鬼平が歩いたであろうこの通りを進むのも、また楽しい散歩になるかもしれないな。
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滝田 莞爾
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