この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第27巻に収録。旧知の女・おかねを偶然見かけた平蔵。おかねは一人娘の仇討ちをするため、ある男を追っていた。おかねの夫は、平蔵の高杉道場時代の先輩・原口新五郎という背景もあったため、平蔵は原口夫妻のために仇討ちの場をセッティングする。若かりし平蔵の大失態エピソードもあり。
スポンサーリンク
女性を尾行する鬼平
顔を見知った女性をつけて鬼平が辿り着いた店は、兎汁で有名な“万七”だった。この店は過去にも鬼平犯科帳に登場していて、鬼平やお園の過去に関する非常に重要なストーリーの舞台となっているのだ。その話の顛末は「霜夜」で読む事が出来るぞ。おかねというその女性は、鬼平が若かりし頃に無頼をしていた時代の顔見知りであった。
その昔、おかねに本所の鬼銕たち悪一味が夜這いを掛けようとした事もあったが、参上した侍によって未遂に終わっている。おかねが仇討ちを試みるも取り逃がしてしまい、鬼平が一肌脱ぐという展開だ。果たしておかねの恨みとは。そして夜這いを制止した侍との関係は。
おかねの職業
夜這いを掛けようとした鬼平たち悪の一味ではあったが、おかねは“すあい”だから云々の言動がある。すあいというのは職業の名前で、元々は小間物や生活用品を売り歩く仲買人といった職業だったのだ。しかし時代が下るにつれ、仲介人の女性が体を売るように形を変えて行ったという歴史がある。
本来は真っ当な職業として扱われていたのだが、女性の仕事という部分から低く見られていたのかもしれないな。すあいとして真面目に仲買をしていた女性も多かったと聞く。イメージの一部で全体の評判が下がってしまう事は寂しい事ではないか。
高杉道場の剣客、原口新五郎
おかねと夫婦であった新五郎がその関係を崩した過去には、非常に悲しい話があった。悲惨すぎる出来事に、二人の心にも深い傷を残したのだろう。仇を討とうとする気持ちは、おかねだけではなく、同じく夫の新五郎にもあったはずだ。
高杉道場で平蔵や左馬之助に剣術を教える立場ともなれば、その腕前は相当なものだろう。剣客としても実力者の新五郎が、冷静に仇と対峙する場面は緊張感が走る。過去の全ての思いを乗せた一刀流の奥義、ぜひ緊張感を味わってもらたい。
この作品が読める書籍はこちら
滝田 莞爾
最新記事 by 滝田 莞爾 (全て見る)
- 鬼平犯科帳 漫画:第265話『同門の宴』のみどころ - 2022年9月9日
- 鬼平犯科帳 漫画:第48話『おしま金三郎』のみどころ - 2022年9月5日
- 鬼平犯科帳 漫画:第67話『殺しの波紋』のみどころ - 2022年9月1日