この記事の目次
簡単なあらすじ
ワイド版第47巻収録。押し入りはするが、金は盗らないという奇妙な盗賊が出現。犯行現場には小説の原稿を残す手口だった。被害に遭った店が評判の悪い悪徳問屋ばかりであったため、庶民は”義賊”としてもてはやす。ある日、残された小説が過去に発禁本になった小説の一部であったことが判明し……。
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近くて遠い新島までの40キロ
古今東西から流刑の1つとしてあった島流し。国によって時代によって送り先は様々で、オーストラリアがイギリスの流刑地だったことは有名な話。
日本でも佐渡島、八丈島のように今では観光地となっている島が、かつては送り先に使われていた。伊豆半島から見える位置にある新島。サーフィンやクジラウォッチングでも有名ながら、江戸時代までは流刑地として使われていた。
場所にもよるが、新島から伊豆半島まで約40キロ。歩けば10時間程度だけれども泳ぎ切るのは難しい。本作で島抜けをした3人が小舟を使ったのは賢明な判断と言えよう。
盗賊の置き土産いろいろ
「自分がやったぞ」のような犯行の証拠として、盗賊が何らかの置き土産をしていくことがある。その多くは名前などを書いた紙ながら、『血頭の丹兵衛』は木の札に、『天網恢恢』では折り鶴に名前を書いて残す賊が登場する。
本作に登場する賊は3人組なことから“三つ首”と呼ばれるようになる。そんな三つ首一味が残していくのは、盗賊ものの書付け(物語)だ。
同心達が貸本屋などを足を棒にして聞きまわったことで、結果的に証拠になってしまうのだが、それも承知の上で荒らしまわっていた雰囲気を感じた平蔵が盗賊の正体に興味を持つことになる。
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珍しい平蔵自らの取り調べ
「これはこれは、長官様、御自ら、お取調べとは」と三つ首の首領が言っている。時代劇ドラマを見ていると大岡越前や遠山金四郎が毎回取り調べをしていると思うかもしれない。
実際には町奉行であっても火盗改方であっても奉行や長官自ら取り調べるのは珍しく、よほどの大事に限られる。それだけに平蔵の、「お前さんに会ってみたかったのさ、浮世亭気楽先生」からのやりとりに、首領である気楽が涙する心情が伺える。
物語の最後に三つ首が数カ月間に張りつけになったと描かれているが、その間、平蔵と気楽は何度か差向いで話したのではないだろうか。
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研 修治
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