この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第41巻収録。シシリー島で老神父・モレッティがマフィアに殺される事件が発生。モレッティの息子であるセルジオは、ゴルゴを助っ人にして仇討ちを決行する。警戒するマフィアの厳戒態勢により、銃器の持込みが不可能となったシシリー島。ゴルゴは驚きの方法でライフルを持ち込むのだった……。脚本:外浦吾郎
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マフィアの島に銃を持ち込むまさかの手段
武器の持ち込みに工夫をこらす姿も『ゴルゴ13』の見所の一つだが、今回は、マフィアの見張りをかいくぐるため、細かく分解したライフルのパーツを伝書鳩に運ばせるという驚きのトリックが描かれる。
鳩の量で怪しまれないの?とツッコミたくもなる展開だが、噴水のノズルを銃身に使う面白さも合わせ、ケレン味が勝っているので良しとしよう。ちなみに、現実にも医療物資などの運送に伝書鳩が用いられていた歴史はあり、鳩の能力的には今回の作戦は決して不可能ではない。最新技術からローテクまで使いこなすゴルゴの臨機応変ぶりが光る一編だ。
自ら復讐を果たすセルジオの覚悟に涙
本話で最も読者の感動を誘うのは、ゴルゴの依頼人にして協力者である神父セルジオの奮闘ぶりだろう。老父の仇であるマフィアの兄弟に復讐を果たしたい彼だったが、ゴルゴへの報酬は兄の分しか用意できず、弟には自ら手を下すと言う。非力な彼がマフィアに一矢報いるために取った捨て身の作戦、そしてその最期は涙なしには見られない。
セルジオはゴルゴへの報酬を工面するために強盗を働いており、さらに自ら殺人にも手を染める。聖職者にあるまじき行いと言ってしまえばそれまでだが、それでも仇討ちとなれば応援したくなるのが読者のサガなのだ。
自業自得と言うには可哀想な空回り刑事
本懐を遂げたセルジオと対照的に、なんとも可哀想な扱いなのがトーレス刑事だ。彼はゴルゴを検挙しようと宣戦布告するものの、あっさりゴルゴにハメられ、マフィアに刺客と誤認されて拷問される羽目に。やっとのことで解放された彼は、引き続きゴルゴの動きを追うが、結局何の見せ場もないまま終わってしまう。
もっとも、セルジオの強盗事件の捜査のためにシシリー島に向かったはずが、途中で勝手にゴルゴに目をつけて首を突っ込んでいったのだから、自業自得かもしれないが……。迂闊にゴルゴに近付くとロクなことにならないという教訓か。
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東郷 嘉博
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