この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第46巻収録。ゴルゴが定期的に行っているハイレベルな健康診断を軸に描かれた一編。ジャマイカで診療船を貸し切り、各部門のドクターを招いて健康診断を行うゴルゴ。しかしジャマイカ到着時の飛行場で偶然出くわしたFBIの捜査官・ブラウニーが、ゴルゴを怪しみ診療船を調べたいと言い出して……。脚本:北鏡太
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知られざるゴルゴのプライベートタイム
タイトルの示す通り、本話はゴルゴのプライベートタイムに焦点を当てたエピソードである。一種の箸休め的な回であって、依頼や狙撃はない。ならば今回は何を描くのか? 読者は本話でゴルゴを追うブラウニー捜査官と同じ視点で、彼の目的を追っていくことになる。
オチを言ってしまえば、ゴルゴは今回、単に医者を集めて自分の健康診断をさせていただけというもの。ゴルゴの知られざる素顔の一部が明かされるエピソードは他にも多くあるが、趣味でも余暇でもなく、オフの時にも「仕事」のためのメンテナンスを怠らない彼の姿が印象的だ。
ゴルゴの不調を知った医師は消される?
ゴルゴが何人もの専門医を集めて精密検査を受けていたことを知った捜査官は、もしゴルゴの体に不調が発見されていれば、それを診断した医師は無事に戻ってこなかっただろうと戦慄する。
確かに今回は健康体だったとはいえ、ゴルゴほどの人物にもなると自身の不調を敵に知られることは死を意味する。医師を「消す」くらいのことはするのかもしれない? ちなみに、ずっと後になって出てくるゴルゴお抱えの眼科医(『いにしえの法に拠りて』)は、本話に出てくる眼科医とは別の人物なのだが……。ひょっとして誰か消された? 本当に?
プライベートタイムでも常在戦場のゴルゴ
本話を象徴するのは、なんといってもラストで捜査官が独りごちる「やつは……たとえプライベートタイムでも戦っているんだ……」という言葉に他ならない。実際、飛行機をチャーターしてジャマイカまで来ておきながら、ゴルゴはオフを満喫するでも心身を休めるでもなく、ホテルの部屋でも猛烈な筋トレや銃のトレーニングに勤しんでいる。
こうなると、彼に本当の意味での休みなど果たしてあるのだろうか?と心配にもなる。もっとも、多彩な技能はおろか女性関係すら仕事の糧とする彼にとっては、仕事こそが最大の楽しみなのかもしれない。
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東郷 嘉博
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