この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第67巻収録。結婚詐欺専門のサギ師・ラッキーは、情報源として使っていたシカゴ市警のOL・パトリシアからゴルゴの顔写真を入手する。ゴルゴが国際的なスナイパーだと知ったラッキーは、自らを「ゴルゴ専属エージェント」と称して、大掛かりな詐欺犯罪を企む……。脚本:本田一景
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「ゴルゴ詐欺」を描いたユニークな短編
ゴルゴへの依頼に金銭的利害が絡むケースは数多あるが、本話は詐欺師がゴルゴの存在に便乗して一儲けを企むユニークなパターン。僅かなページ数の中にショートショートのような面白さがあり、オチまで目が離せない内容となっている。
先頃(2020年2月)、人気漫画『DEATH NOTE』の新作短編が公開され、誰しも一度は妄想する「デスノートを利用した金儲け」というお題に読者の予想以上の回答が提示されたことで話題になったが、同様のテーマを『ゴルゴ』は30年以上も前に描いていたのである。作風の幅広さに改めて脱帽だ。
一人二役を演じ分けるラッキーの大胆変装
本話のちょっとしたツッコミどころは、詐欺師ラッキーが変装の有無で「FBI捜査官」と「ゴルゴのエージェント」を演じ分けるくだり。詐欺師ならそれこそ人を使えばいいものを、一人二役という大胆ぶりだ。
変装といえば、度々披露されるゴルゴの変装も読者にはバレバレだが、あれは作中で接する相手がそもそもゴルゴ自身を見たことがないケースが大半なので問題ないのだ。しかし、ラッキーは同じ相手に素顔と変装後の姿を両方見せているのである。よく見破られなかったものだと感心するが……ひょっとして彼の最大の「ラッキー」はこれ?
詐欺には失敗したがカンはなかなかのもの?
ラッキーの計画は、ゴルゴに狙われる覚えがありそうな人物にアタリをつけ、狙撃の回避のためと称して金を積ませようというもの。相手がゴルゴの存在を知らなければ成り立たず、さりとてゴルゴに詳しすぎても騙せないニッチな作戦だが、ラッキーはまんまとターゲットをカモることに成功する。
彼のアンラッキーは騙した相手が本当にゴルゴの標的だったことだが、逆に考えれば、多数の候補の中から標的を引き当てた彼のカンはなかなかのものかもしれない。かくなる上はゴルゴ予想師として一山当てるというのは……一瞬でゴルゴに消されるだろうなあ。
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東郷 嘉博
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