この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第146巻収録。クリミア半島の村で武装勢力によるホテル占拠事件が発生。宿泊客で世界的大企業の技術者・クシュナーを人質に10億ドルの身代金を要求する。宿泊客にはゴルゴの姿もあり、ゴルゴの正体を知っていたクシュナーは、武装勢力に殺されてしまった妻の敵討ちを密かに依頼するのだった……。 脚本:とおる
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孤立した有名な保養地
地震や水害などで小さな集落が孤立してしまうことは珍しくない。加えて電話線なども寸断されると、まさに陸の孤島と化してしまう。本作の舞台は黒海に面したウクライナ南部にあるクリミア半島。帝政ロシア時代から保養地として有名な場所でもある。
第二次世界大戦の末期にヤルタ会談が行われたことから有名になったヤルタの程近くにある小さな村で事件が発生する。あいにくの悪天候の中でホテルに閉じ込められていた宿泊客の中に、アメリカの大手IT企業の役員がいた。武装勢力が彼を人質にとって身代金10億ドルを狙うところから話が展開する。
武装勢力の人質となるゴルゴ
そんな人質の1人となったのがゴルゴだ。『ジェット・ストリーム』『高度7000メートル』『依頼保留』などでも人質となるゴルゴだが、それらが巻き込まれた形である一方、『人質 HOSTAGE』や本作では依頼を受けて潜入した形を隠している。
身元を問われて地質調査員と答えるゴルゴ。あの体格からすれば無難な答えだ。ジャーナリストやプログラマーに扮することもあるが、さすがに無理があるだろう。ただし異様に落ち着いた雰囲気から、武装勢力のメンバーには不審に思われている。もっとも震えるゴルゴなんて姿は見たくもないが。
ゴルゴがジョークを言った!
役員からの依頼もあって人質の身から抜け出そうとするゴルゴ。縛られていた縄をこっそり切った後、ホテルの支配人に声をかけて、「チェックアウトを頼む」と言っている。あっけにとられる武装勢力のメンバーや他の人質達。それも当然だろう。
ひと呼吸おいて武装勢力のメンバーの1人が、「こいつはおもしれえっ、人質のお前が言うセリフかっ」と笑っている。普段から口数の少ないゴルゴであり、無駄口を叩く機会はごく少ない。『北の暗殺教官』でも軽口を叩いているが、相手を油断させた意味では、なかなか質の良いジョークと言えそうだ。
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研 修治
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