この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第19巻収録。飛行機がハイジャックされる事件が発生。乗客名簿を精査する捜査陣は、乗客の中に“デューク・東郷”の名前があることを知る。その事実を知らされたMI6のヒューム部長は、ゴルゴだけに理解できる暗号文を機内に届けさせ、秘密裏にハイジャック犯を始末してほしいと伝えるのだった……。脚本:K・元美津
スポンサーリンク
ハイジャックに巻き込まれるゴルゴ
近年は対策が厳重になったためハイジャックはあまり発生しなくなっている。このエピソードが初めて掲載された73年頃は安全対策が取られ始めるようになったばかりの頃だ。作中では「最近では、ほとんど不可能と思えるほど厳重な警戒をくぐりぬけて」というセリフはあるものの、1970年代は400件近くものハイジャックが発生していたとされている。
手りゅう弾や拳銃を犯人が容易に機内に持ち込んでいた様子を見ると時代を感じる。しかし犯人グループが銃器を身につけて持ち込んでいるのだから、ゴルゴも拳銃などを所持していそうなものだ。だがゴルゴがハイジャック犯を制圧する時には素手と犯人たちの拳銃を使った。使い慣れていない銃でも鮮やかに狙撃を決めるゴルゴはクールでしびれる。
トリッキーな依頼を受け入れるゴルゴ
今回ゴルゴに特殊な方法での依頼をしたMI6のヒューム部長はゴルゴファンにはおなじみのキャラだろう。ゴルゴへの依頼数は個人で最多と言われている。ゴルゴはリピーターでも新規の依頼者でも態度を変えることは無いが、それでもこのヒュームに対しては一目置いている様子が他のエピソードから伺える。
今回のトリッキーでリスキーな依頼はヒュームの名前だったから実行されたのか、依頼者が誰であれ実行されたのかは意見が分かれるところだと思う。私としてはゴルゴの信念からして後者ではないかと思うが、ヒュームの名があってこその依頼遂行だという人の意見も判る。
ゴルゴが動かなかった理由
しかし気になるのは、ゴルゴが依頼されるまで動かなかった理由だ。ゴルゴは依頼されてのみ殺人を行うわけではない。自らが狙われたり、危険な状況にさらされたりすれば相手を殺すことにためらいはない。
今回はイレギュラーの依頼を受けた上、行き先不明の飛行が始まってからゴルゴは動いた。他の乗客がいて動きが取れなかったのかもしれないが、それなら人数が減ったところで動いてもいいような気がする。ヒューム部長からの依頼が無かったとして、ゴルゴはどのタイミングでハイジャック犯を叩きのめすつもりでいたのか、それは知りたいところだ。
この作品が読める書籍はこちら
大科 友美
最新記事 by 大科 友美 (全て見る)
- ゴルゴ13:第435話『地上の太陽』のみどころ - 2024年7月28日
- ゴルゴ13:第429話『真のベルリン市民』のみどころ - 2024年7月21日
- ゴルゴ13:増刊第73話『ピンヘッド・シュート』のみどころ - 2024年4月24日