この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第85巻収録。イラン・イラク戦争の停戦で、世論の不満が現政権へ向けられることを危惧したイラク政権は、逮捕したモサドのスパイを公開処刑にすることで、国民の意識をイスラエルへ向けようと画策する。スパイ奪還の依頼をうけたゴルゴは、イラクの国民感情を逆手にとった作戦にでる。
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安易な団結心の形成には外敵を作れ
モサドのスパイがイラクで捕らえられ、衆人環視の中で公開処刑されるという残虐な行為をゴルゴが阻止するという設定だが、パルカはイラクの政治的安定の犠牲にされている。イランとの停戦により外敵を失ったフセインの謀略だが、この政策は性懲りもなくどの国でも採用されている。
かつてイギリスのサッチャー首相は、国内の支持率低下の際、アルゼンチンに侵攻して一気にその回復を図った。政治学的には「対外政策のイデオロギー的偽装」というが、SNSなど情報が国を超える時代、国民はこのプロパガンダには乗らないようにしたいものだ。
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スパイの基本は語学から
元外務省職員で著述家の佐藤優氏によれば、諜報員としての教育は英国陸軍の語学養成所から始まるという。語学の理解できないスパイはあり得ないから当然だが、言語の発音は幼少期から習得しながら舌の動きや口腔の筋肉が発達していく面もあるので、やはりパピヨンのように両親がフランス語を話さないとネイティブ並になるのは難しい。
フランスの女優・ジュリエット・ビノシュが英語が下手だとアメリカで酷評されたことがあった。そのためか映画「イングリッシュ・ペイシェント」出演の際はフランス語圏のカナダ出身という設定になっていた。
簡単なようで意外に難しいミッション
パルカの母親が息子の処刑を嘆き、ラビが彼女を慰める場面で、絞首刑になりながら生きながらえたり、電気イスや銃殺でも生き残った例を挙げているが、これが事実なら驚きであり、その後彼らがどうなったかぜひ知りたいものである。
今回のミッションは一見簡単なようだが結構厳しい条件であった。まず周辺の安全が確保され、処刑場まで障害物がなく狙撃が気づかれない距離という条件を満たした場所を探さねばならない。絞首台を下見に来たのは、ロープの太さや材質、つり下げられたときの長さなどから狙撃ポイントを計るためだったのだろう。
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野原 圭
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