この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第133巻収録。「ヒトラーのクローン人間を製造する」。この狂気の計画が実行に移された。ヒトラーが使用したヘアブラシを入手したザイジル製薬研究所のドッジは、ブラシに残る毛根細胞からヒトラーのDNAを採取。この計画に自分の受精卵が使われることを知った副所長エヴァは、ゴルゴに計画の阻止を依頼する……。脚本:夏緑
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有名人のクローン人間を作る
シリーズ第1話『ビッグ・セイフ作戦』からナチスドイツと関わりがあるゴルゴ。戦後65年もたった2015年にも『ロンメル将軍の財宝』が発表された。切り口しだいではまだまだネタとして活用できそうだ。1996年に話題になったクローン羊のドリーを覚えている人はどのくらいいるだろうか。
その3年後に発表した本作ではヒトラーの毛根細胞からクローンを作ろうとしている。しかし2001年発表の『百人の毛沢東』では毛沢東のクローン青年が登場する。何かと規制の厳しい欧米よりも、何でもありの中国の方が進んでいても不思議はない。
毛根細胞から得たDNAを活用
新型コロナウィルスの発見に用いられるPCR検査。PCR(polymerase chain reaction、ポリメラーゼ連鎖反応)とは特定の遺伝子を増幅させる手法で、わずかな量でもウィルスの検出が可能だ。
製薬会社の社長ダニエル・ドッジはヒトラーの毛根細胞から抽出したDNAをPCRによって増幅させ、受精卵としてパートナーであるエヴァンジェリン・ヒンクルの体内に戻すことを画策する。しかし嫌悪感を覚えたエヴァがゴルゴにドッジの暗殺を依頼する。ヒトラーの愛人エヴァ・ブラウンと名前が同じなのは偶然だろうか。
2発の銃弾が奪ったもの
大統領選挙の投票用紙を狙撃した『星条旗を撃つ』では、換気扇のすき間をついて狙撃したゴルゴ。本作では回る換気扇のすき間を2度も狙撃する数段困難な狙撃を完遂している。しかも腐食した換気扇は正確な回転数は不明だったが、それでもスコープ越しに回転を見切ったゴルゴは素早く計算して狙撃可能と判断した。
研究所近くの丘に立ったゴルゴ。1発目は予定の時間に、2発目は依頼人の合図に合わせて射撃した。エヴァとドッジだけでなく手術に立ち会った12人のスタッフは爆発に巻き込まれて即死のはず。ドッジの製薬会社も倒産しただろう。
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研 修治
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