この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第141巻収録。ホワイトハウスの生き字引と呼ばれ、ホワイトハウスの管理の歴史そのものだったバークレーが引退をむかえた。バークレーは現職大統領・クリンガーが、ホワイトハウス内で女子大生と破廉恥な行為に及んだことが、どうしても許せない。彼は自分の命を賭して米大統領選で大番狂わせを起こそうと、ある計画を実行する……。
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2000年のアメリカ大統領選挙の混乱
本作で舞台となったのは、2000年のアメリカ大統領選挙にて最後まで混乱が続いたフロリダ州のパームビーチ郡。同選挙では再集計をへて数百票差まで縮まったものの、連邦最高裁による再集計を禁じる判決により、ブッシュ陣営の勝利が決まった。
なお、獲得した選挙人は共和党のブッシュ陣営の271人に対して、民主党のゴア陣営が266人と少なかったものの、一般投票数ではブッシュ陣営が5,045万6,002人に対してゴア陣営が5,099万9,897票と多くなっており、大統領制とともに選挙人による投票制度に注目が集まった事件でもあった。
500メートル先のすき間
ゴルゴの狙撃距離は『AT PIN-HOLE!』『海神が目覚める』のように1000メートルを超えることもあるが、500メートル前後の距離を狙うことが多い。
本作では500メートル離れたビルから換気扇のすき間を通しただけでなく、束ねた投票用紙の一か所を狙って狙撃を成功させている。
まさに神業で居合わせた警官たちは、「そんな隙間を」と否定しかかるものの、共和党や民主党の高官と思われる立会人は、「“G”かっ!?」と狙撃された事実を受け入れている。大きく事態を動かしつつも人が死なない意味で、エレガントなスナイプと言って良いだろう。
狙撃におけるゴルゴのルール
アメリカ政府すら敵に回しかねない狙撃内容について、「相当に無理なお願いなのは承知しています」と依頼人は語っている。
しかしゴルゴは、「結果に生じるものすべての責任を負うのも、俺のルールだ」と納得して引き受ける。ゴルゴの狙撃で不利な事態に陥ったゴア陣営すらもゴルゴを敵にすることを避けており、結果的にゴルゴの脅威が再認識された格好だ。
『ロックフォードの野望』ではレーガン(と思われる)大統領直々の忠告すらも無視したゴルゴ。狙撃で選挙結果に与える影響などは狙撃自体の困難さに比べれば何でも無いのだろう。
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研 修治
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