この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第185巻収録。父親の仇討ちを依頼されたゴルゴ。その条件とは日本古来の火縄銃を用いての狙撃だった。ここ数十年の間で唯一、ゴルゴが右腕を預けた手袋職人や、美形の火縄銃名人・六条有香の登場など、なかなか興味深いエピソード。脚本:井沢元彦
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もうひとつの史上初
六条有香を見ると、どうしても『一射一生』の弥生と対比してしまう。どうちらもゴルゴへ教えを説いているという点、自ら裸体になるという点は共通しているのだが、そのあとが大きく異なる。
スタイルも含めて見るからに肉食系女子の有香はゴルゴと2回戦まで交わっているが、楚々とした弥生は裸体を見せてもゴルゴに手を出された様子がない。六条有香はシリーズ史上初めてゴルゴがベッドを共にした日本人女性であり、その意味でゴルゴをベッドの標的にした“史上初”の日本人狙撃者と言えるかもしれない。
ゴルゴの信頼する皮手袋職人
武器には並々ならぬこだわりを見せるゴルゴであるが、今回は依頼の性質上、依頼者指定の銃器を用いた依頼に応じた。『ジーク・ハイル!!』でも依頼者指定の銃器を用いて仕事を行っている。その銃器はヒトラーの愛用銃であった。この時は銃を現場に残すために、指紋がつかないように手袋を嵌めて狙撃をしている。
今エピソードでも性能の劣る火縄銃を用いざるを得なかったため、皮手袋に対するゴルゴのこだわりがみどころとなっている。素材の仕入れに自ら趣き、職人への支払いだけで2万ユーロ、ざっと240万円である。他にゴルゴを支える職人は『STOCK』や『夏の老人』などにも登場する。
井沢元彦がゴルゴという素材を料理
ゴルゴ500話の記念作品ということで、作家の井沢元彦氏が脚本協力をしている。『逆説の日本史』シリーズで有名な作家であるが、もともとの作家デビューは江戸川乱歩賞の受賞作である歴史ミステリー。信長を主人公に据えた『織田信長推理帖』シリーズは傑作だ。その井沢氏がゴルゴという素材をどのように料理するか。その意味でも注目のエピソードだろう。
井沢氏は以前からスナイパー(職業的狙撃手)に命を狙われたのは織田信長が日本史上初であり、そのスナイパーとは杉谷善住坊であるとの説を唱えている。今エピソードはその狙撃の失敗理由をゴルゴに謎解きさせるという味付けで見事な一品に仕上げている。
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片山 恵右

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