この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第143巻収録。毛沢東のクローン人間を100名生産するという狂気の計画が実行に移された。中国の将軍・漢卑はロシア人研究者と結託して計画を進行。さらに毛沢東が生まれ育った集落を完全に再現し、そこでクローンを育てることで完璧な複製人間を作ろうと情熱を燃やすが……。脚本:平良隆久
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改革を進めるかつての中国共産党
2001年発表の本作。中国共産党内での政争が描かれており、首脳陣として黄拓明、首陽来、鯉峰、仔金筒らが登場する。それらが江沢民、朱鎔基、李鵬、胡錦濤であるのは言うまでもなく、顔もそっくりだ。改革路線を進める首脳陣は保守派重鎮の漢卑将軍を除名し、彼の企てもゴルゴに依頼することで雲散霧消させる。
そこから20年後、改革路線とは真逆に進んでいるのは、現代に生きる私達なら知っているはず。作中では漢卑将軍の息子が私腹を肥やしている様子が描かれている。結局、中国共産党にとっては改革派も保守派も同じ穴のむじなだろう。

成層圏の核爆発で混乱を起こす
今回のターゲットは300キロ四方で5つに分散している。広範囲を監視するモニターをかく乱させる目的で、ゴルゴはミッション開始とともに成層圏で核ミサイルを爆発し、電磁波障害を起こさせている。
『15-34』『最終暗号』でもコンピュータに悪影響を与える目的で核攻撃が行われた。ただしゴルゴが企てた本作や『15-34』では計画が成功し、『最終暗号』ではゴルゴによって防がれている。核ミサイルの攻撃すら操るゴルゴ。毛沢東を復活させるという壮大な計画を実行する中国共産党の重鎮でも相手にならなかったのは当然かもしれない。
世界にまかれた5つの種
ゴルゴによってターゲットは全滅したと思われたものの、殺されたのは関係者のみ。毛沢東のクローンである5人は途上国の農地に監視付きで移住させられる。監視人が中央軍事委員会のエリートであることを考慮すれば、この流れは依頼の一環として考えるのが妥当だろう。
クローンの1人に監視人は、「(この国で)政治活動をするのもあなたの自由」「十年以内に政権を握り……いずれ素晴らしい国家を創り上げるでしょう」などと言っている。それが新たな共産党国家になるのか。そして素晴らしい国家になるのかは毛沢東クローン次第だろう。

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研 修治

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