この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第120巻収録。香港の人気俳優・リーは、香港の中国返還を目前に本格的なハリウッド進出を目論む。それを歓迎しない米映画産業は、自分たちの利権を守るため、リーの抹殺を企てる。リー陣営は、ゴルゴにリーの警護と黒幕の抹殺を依頼するが……。「中国砦」と呼ばれる要塞ビルで繰り広げられるゴルゴとDIA精鋭部隊との激闘!
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ボディガードも引き受けるゴルゴ
重複した依頼は引き受けなかったり、嘘をつく依頼は断ったりするなど、仕事に関していろいろなルールを定めているゴルゴ。ボディガードの依頼は断るのもその1つ。しかしながら『WHO!』『見えない軍隊』などでボディガード同然の依頼を引き受けている。
そんな自覚もあるのか本作でゴルゴは、「基本的にボディガードは引き受けない」と“基本的に”を付けているのが微笑ましい。依頼人のロイは敵対する人間の排除と黒幕の抹殺と言いかえることで依頼を成立させている。交渉術に関してはヤリ手マネージャーであるロイの方が上だったらしい。
ゴルゴへの報酬は依頼人の命
本作では重要なルールがもう1つ登場する。それは共闘してゴルゴのノウハウを知ってしまった依頼人であるロイの命を要求したことだ。ただしこれは珍しいことではなく、『黄金の犬』ではゴルゴと行動を共にした4頭の犬ですら手がかりさせないため“自殺”に導いている。
一方で『臆病者に死を』では爆弾処理に同行したエキスパートに対して何もしていない。それを考えると、数日もの間ゴルゴにピッタリと同行したロイは、命を差し出す必要があるようなゴルゴの一面を知ったに違いない。ゴルゴファンであればよだれが出そうなシチュエーションだ。
どうなるハリウッドと中国共産党
1997年の香港返還を前に生き残りをかけてハリウッドに食い込もうとする香港スター達を描いた本作。しかし21世紀の現在、香港の住民こそ戦っているものの、ハリウッドは丸ごと中国共産党に頭を下げているような状況だ。
コロナ騒動などを受けて中国共産党の化けの皮がはがれたことで、ハリウッド自体の揺り戻しがあるかもしれないものの、そう簡単には行かないことも想像できる。過去には中国共産党の敵にも味方にもなったことのあるゴルゴ。どこかの大統領が、どこかの総書記の狙撃依頼を出していても不思議はなさそうだが、さてどうだろうか。
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秋山 輝
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