この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第12巻収録。母一人子一人で暮らすシルビーアとピエトロは、宿を探していたゴルゴと出会い、自分達の家を宿として提供する。シルビーアは男嫌いで通っているが、次第にゴルゴに惹かれていく。ある日、港で起こったピストル強盗の犯人が東洋人風だったとのニュースを聞き、シルビーアはゴルゴが犯人ではないかと疑念を抱く……。
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異国情緒漂う港町ナポリ
ナポリには「ナポリを見て死ね」ということわざがあるくらい絶景、遺跡、グルメが揃った観光・リゾート地として名高いイタリア南部の観光都市だ。
しかし今エピソードでは観光都市としてではなく、港湾都市としての“下町ナポリ”が描かれる。手垢のついた 言い回しで恐縮だが、異国情緒漂うどこか懐かしい舞台である。
ナポリのグルメと言えば、ナポリピッツァ(ピザ)で有名であり、正式なナポリピッツァであるためには厳格な食材・製法が求められる。一方、ナポリグルメを想起させるもう一つの雄、スパゲッティ・ナポリタンは日本生まれのレシピとして知られる。
いつかは幸せになってほしいシルビーア
亭主に裏切られた経験から、男嫌いになっていたシルビーアが「あんたにはもう一度苦労をしてみたくなった」と言うシーンが哀愁を感じさせる。“男とは苦労させられるもの”という固定観念や不幸を呼び寄せる体質が沁みついてしまっている。
殺された亭主以外にも男選びに失敗してきたのだろう。だからシルビーア自身は見た目も世話好きなところも含めて“イイ女”なのに、ジューコブのような男に付きまとわれてしまっているのだろう。それでも無言でゴルゴに去られた翌朝、気丈に振舞るまうシルビーア。ピエトロともどもいつかは幸せになってほしいものだ。
港町や母子家庭を舞台にしたエピソード
今エピソードと同じく港町を舞台にしたエピソードには『波止場を我が手に』や『セクシー・タイガー』がある。前者はフランスのマルセイユの街並みが映画的描写で存分に描かれており、後者は南アフリカ共和国の港町ダーバンの雑多な裏通りが舞台となっている。一口に港町と言っても様々な趣きがあり、読み比べもまた楽しい。
また、母子家庭にゴルゴが現れ、希望の光となるエピソードとして『白い巨人』がある。こちらは、少年ピッカロ(ピエトロよりは年嵩)が父も母も失い一人残される。シルビーアやピエトロ同様、幸せになってほしいキャラクターだ。
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片山 恵右
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