この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第177巻収録。色宝石の識別会社・ハウゼン社。社長のベッカーは親会社コ・ギュルダン社をのみ込み、世界の色宝石業界を牛耳ろうと画策していた。ベッカーに自社の鑑定士を引き抜かれたことを知ったギュルダン社は、ゴルゴを雇いベッカーの始末を依頼するが……。
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今回のターゲットは宝石!
宝石の“鑑定”と“鑑別”の違いが勉強できる本作。ゴルゴのターゲットはその宝石だ。本作以外にも宝石がターゲットになった作品としては『死闘ダイヤ・カット・ダイヤ』『プリンセスの涙』などがある。
価値ある宝石がゴルゴによって狙撃される瞬間は、つい息をのんでしまう。そうした作品で「アニメ化はできても実写化は無理だろうな」と思うものの、CGが発達した現代なら可能かもしれない。
依頼人の“満足”を追及するのがゴルゴ流
依頼について厳格さを求めるゴルゴながら、その一方で依頼人のあいまいな要求を飲むことがある。例えば、『FIRE!』では事故に見せかけるように、『リプレイ』ではエレガントな狙撃(スナイプ)を、そして『ダルフールの悪夢』では「家族全員を失った私の復讐たるにふさわしい殺害方法」と依頼されている。もっとも「復讐たるにふさわしい」は主観の問題として断っているものの、「できるかぎり無残な死」を求められて、とある方法でそれを完遂している。
ベッカーの命を奪うことなく……
本作でゴルゴは依頼人からある男を殺すのではなく、「宝石業界から抹殺する、という形の狙撃」の依頼を受けて、「いいだろう……やってみよう……」と承諾している。こうした難しい依頼を難なくこなすことも、ゴルゴの評判を高めている一因となっているに違いない。
人間を殺してしまえば簡単にすむ案件ながら、依頼人の要求を満たすためにゴルゴがとった方法は非情に困難……ではあるのだろうが、私を含めてゴルゴの腕前を知る読者なら、「やっぱりね」とニヤついていたのではないだろうか。本作のラストシーンは、シリーズの中ではかなり救いのある終わり方になっている。私なら、あんな美人で性格の良い奥さんがいれば、それだけで満足なんですけどね。
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研 修治
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