この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第42巻収録。野心家のチンピラ・ニックは、マルセイユを二分する組織を対立させ、混乱に乗じて自らがシマを乗っ取るチャンスを伺っていた。街のチンピラを始末するゴルゴを見たニックは、ゴルゴを利用できると考え、「相棒にならないか」と持ちかける。しかしニックの提案を承諾したゴルゴには、別の目的があったのだった……。脚本:K・元美津
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愛すべき?小悪党・ニックの小物ぶりに注目
本話の狂言回し役は、マルセイユの裏社会を手玉に取ろうと目論むチンピラのニック。ニキビ面でお世辞にも格好いいとは言えず、いかにも小物感溢れるこの男。出てきた瞬間から「ああ、こいつは死ぬな」と予想できてしまうキャラだが、セコい立ち回りの割に妙に自身家でもあり、どこか憎めない小悪党ぶりが光っている。
何より本話の標的達はちゃんとゴルゴを知っているのに、このニックは当の彼を間近に見ていながら全くその正体に気付かないのが可笑しい。そもそも町のチンピラ程度ではゴルゴの存在を知らないのだが、その時点でダメすぎる。
拳銃を向けられても「おっ立てたまま」!
機械のような無愛想ぶりに反して、大の絶倫でも知られるゴルゴ。本話では娼婦との情事の最中にヤクザに踏み込まれ、全裸でホールドアップさせられる羽目になるが、ヤクザいわく「こんな時にまだおっ立てたまま」らしい。
下世話な話で恐縮だが、いかに精力絶倫であろうとも、普通の男性は他人が大勢見ている前で「おっ立てたまま」ではとてもいられないのではないか。だからAV男優の資質というのは、大きさやテクニック以前に、そもそもカメラの前で状態を維持できるかどうかが関門だとか。ゴルゴならきっと一流の男優にもなれるに違いない(?)。
ニックを殺したのは自分で渡した拳銃?
ゴルゴを相棒に引き入れたニックは、「あんたハジキは使えるのかい?」とマヌケな問答の末、ゴルゴにリボルバー拳銃を手渡す。この拳銃はゴルゴがヤクザ達に踏み込まれた場面で床に捨てさせられており、その後の依頼遂行の場面では、ゴルゴはヤクザの元々持っていたオートマチック拳銃を奪って使っている。
ところが本話のラストでゴルゴがニックに向けているのはリボルバーの銃口。例の拳銃をヤクザから回収していたのだろうか? だとしたらニックは哀れ自分の渡した銃で始末されてしまったわけで、小悪党にふさわしい皮肉な最期といえる。
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東郷 嘉博
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