この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス未収録作品。アイスランドの元大統領・ベルディス。ロシア・ウクライナ戦争を憂慮する彼女は、閉館予定の日本の劇場を使って反戦喜劇の上演を仕掛ける。公演を阻止するべく暗躍する勢力の殲滅を請け負ったゴルゴは、天才ハッカー・ショーン鍛冶屋とともに現地へ乗り込むが…。脚本:氷室勲
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きっかけはアイスランド元大統領
タイトル「女の平和」は古代ギリシャの反戦喜劇と、キーパーソンとなるアイスランド元大統領とのダブルミーニングだろう。
モデルとなったアイスランド第4代大統領ヴィグディス・フィンボガドゥティルは、近代以降初の女性国家元首であり、作中で描かれたように1986年にレーガンアメリカ大統領とゴルバチョフロシア書記長とのレイキャビク会談を実現させて、冷戦終結につながる立役者のひとりとなった。本作のように元政治家が活躍するのは洋の東西を問わずあるが、強引に巻き込まれた格好の日本政府にとっては良い迷惑と言えそうだ。
依頼人は日本政府
日本政府からの依頼は「双龍狙撃指令」でもあり、今回ゴルゴと交渉したのは防衛庁関係者に違いない。これはゴルゴのセリフ「依頼に、もう少し含みがある」「“かつての本丸の庭先で火遊びはさせぬ”」を考えれば分かる。
作中に登場する六本木劇場のモデルは俳優座劇場で、すぐ北西に東京ミッドタウンがある。ここはかつて日本陸軍の麻布駐屯地、そして2000年まで防衛庁の檜町駐屯地があった場所だ。今となっては外国人観光客を含めた一般人で賑わう場所ながら、ほど近い場所で火遊びならぬテロ行為を起こされては防衛庁ならずとも大きな迷惑だ。
当初の狙撃場所は?
東京タワーから滑空してくる工作員3人を東京ミッドタウン屋上で待ち構えるゴルゴ。騒ぎとなるのを避けるため、麻布の外務省飯倉公館に墜落させるよう追加で指示を受けたゴルゴは、「もう少し接近してからを想定していたが」と言いつつも、あっさり狙撃を成功させた。
では、ゴルゴが当初想定していた狙撃地点はどこだろうか。六本木劇場(俳優座劇場)の裏手に麻布警察署がある。ここに墜落するよう狙撃すれば、東京ミッドタウンから500メートルほど。しかし飯倉公館に墜落するよう狙撃するとなれば1000メートル前後となる。瞬時の対応も神業だ。
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研 修治
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