この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第135巻収録。中米の小国バルボア共和国・ジエグアダ村。この村にはレアメタルの鉱山が眠っていた。その採掘権を行使したい米・グレースマイン社は、日本のODA(政府開発援助)から村に援助された資金で武器を購入。その目的は村人を扇動し、政府軍と衝突させるとこで、混乱に乗じて採掘権を行使するというものだった……。
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ODAの意義や政治的背景をゴルゴ的に
日本人ならば、ODAのことを目にしたり耳にしたりしたことがある方がほとんどであろう。ただ、よく知っているようでよく知らないのもODAである。
公式な解説は外務省HPに詳しいのでそちらを参照されたいが、日本のODAの意義や政治的背景については、ゴルゴ的な視点から谷川女史が梶本記者にレクチャーする形式で読者にもわかりやすく解説してくれる。
そのODAをテコに陰謀を画策し、特ダネを”作ろう”とする谷川女史と、飲み屋で知り合った男からの又聞きで記事を書いてしまう梶本記者。同じ支局に所属していながらこの落差。矢島支局長の苦労がしのばれる。
有能?無能?梶本記者
シリーズの準レギュラーと言ってもよい東洋通信メキシコ支局の梶本記者が2回目の登場(初出は『両洋の狭間に』)。ゴルゴと密会する正体不明の男を見て、即座に小国バルボアの経済企画大臣ブランコであることを喝破する梶本記者。ダメダメ記者のように見えて意外に有能だ。
しかしその後のスジ読みが頂けないのが梶本記者の梶本記者たるところ。ブランコが政敵ルイスをターゲットにしているとスジ読みをした梶本記者は、その後ストーリーから外れてしまうことになる。
ラストでは矢島支局長に小言を言われることを想像しているのが、なんだか憎めない。飲み屋での与太話だけで記事を書くところなど、梶本記者はやはり無能だったのか……?
鉱山あるところゴルゴあり
寒村であるジエグアダ村の銅鉱山にレアメタルの鉱床があることが今エピソードの軸となる。ゴルゴ13シリーズには鉱山や鉱物を軸にしたエピソード、舞台を鉱山に取った人気エピソードが多数あり、まさに”鉱山あるところゴルゴあり”なのである。その中から代表的なものを紹介しよう。
断りかけたのに珍しく情で依頼を引き受けて、思いもよらない大仕掛けでドンパチを繰り広げる『ガリンペイロ』、終盤で意外な依頼キャンセルの理由が明かされる『コルタン狂想曲』、世界的に有名なチリ鉱山での作業員救出劇に題を取った『33+G』。ぜひ一読されたい。
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片山 恵右
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