この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第105巻収録。アメリカ国家写真解析センターのベルマイヤー博士は、画期的な撮影能力と画素数をほこる最新偵察衛星「KH-13」を使って国家機密の撮影に成功する。調子にのった博士は、ゴルゴの狙撃シーンを撮影し脅迫することでゴルゴを手中に収めようと企図。偽の依頼でゴルゴに罠をかけるが……。
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人の作った神と戦うゴルゴ
ひと口に神と言っても、人により宗教により様々だ。ゴルゴシリーズでは『神の領域』『神の耳・エシュロン』『神の鉄槌』『神の滴』とタイトルに“神の”とついた作品がいくつもある。
さらに、スペイン語の『ラ・マニョ・ディアス(神の手)』、英語の『GOD HAND 神の手』のように、言語こそ異なるものの、同じタイトルが付いている場合すらある。もちろんそれぞれに登場するのは本物の神ではない。高度な科学技術などで神同然とも言える存在をゴルゴが何らかの形で駆逐していくのだが、ゴルゴの活躍は見事と言うより他にない。
天才の持つもう1つの顔
本作でゴルゴを陥れようとするのはアメリカのNPIC(国家写真解析センター)の責任者であるベルマイヤー博士。センチ単位で解析できる偵察衛星の画像を元に、対象の癖なども合わせて分析できるほどの力量の持ち主で、時のアメリカ大統領に、「危険な男だな」と、国防長官にも、「一種の天才です」とまで言われる人物だ。
そんな博士が家に帰ってやっているのは覗き趣味だ。住居を紹介した女性職員のシャワーシーンをこっそり撮影し、「悪趣味だな、私という男も」と自嘲すらしている。壁に飾った写真は自分の撮影だろうか。むしろ寂しさすら感じてしまう。
忠告の意味を持たせた狙撃
ゴルゴの狙撃で特徴的なのはヘッドショット、つまり眉間を撃つもので、『生存確率0.13%』では眉間の狙撃を52%以上としている。しかし逆にみれば、その他の部分を撃つことも半分近くあることになる。
本作ではベルマイヤー博士の共犯となっている航空宇宙軍のナルド司令官の左目を撃つことで博士に忠告と恐怖を感じさせた後、博士の両目を撃ち抜いている。それらを知ったアメリカ大統領は、「神の眼力は考えて使え」とするゴルゴからの警告として理解した。3発の弾丸を使ってまで大統領に思い知らせるゴルゴ。この周到さこそが彼の信条なのだろう。
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研 修治
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