この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第9巻収録。郵便配達のトラックが襲撃され、荷物が盗まれる事件が発生。荷物の中にはゴルゴに届くはずだったライフル銃の部品が含まれていた。やがて女性だけを狙った狙撃事件が発生。捜査機関の分析で、使用されたライフル銃はゴルゴが使用している銃と同じ銃だと断定されたため、ゴルゴは犯人として追跡されることになる。脚本:森幸太郎
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ゴルゴのif
本作ではゴルゴの「if」を見ることができる。冒頭ではシリーズお約束の売春婦の誘いをゴルゴがスルー。この時点で「おや?」と思う読者も多いはずだ。「女なんて感心ないような顔して!」と捨て台詞を吐く売春婦だがそれもそのはず。ゴルゴはそんなことに関心を持っていられない状況であることが次ページから始まる数週間前の過去回想で語られるのである。
この回想でバラバラにされた銃のパーツ全てを盗まれた上に、その銃を組み上げて持ち去られたことが判明する。売春婦はスルー、銃パーツは届かない、銃の組み立てはゴルゴ以外が行う等々、読者の予想を完全に裏切っている本作。あなたはゴルゴの「if」を垣間見ることが出来るだろう。
異色の経歴を持つ男・ジェフ
登場人物で注目したいのはジェフ・カーナビーだ。売春婦の息子として生まれ、元レーサーで精神的外傷を持ち、おまけに薬物中毒者と典型的なダメ人間の経歴。しかし彼には隠された才能があったのだ。それはゴルゴと勘違いされるほどの銃の腕前である。
この経歴でゴルゴと勘違いされるほど銃の扱いが上手いとは全く納得がいかないが、作中ではゴルゴの銃を用いて放り投げた空きカンを空中で3度撃ち抜くなど、その銃の腕前は本物なのだ。同様に一般人が凄まじい射撃の腕を披露する話として、視覚障害を持つ老婦人が正確に急所を撃ち抜く『インディアン・サマー』がある。本作とは対照的な感動ドラマだが、興味があれば読んでみて欲しい。
連続殺人事件を警察とゴルゴが追う
本作の物語はゴルゴの銃を用いてジェフが連続殺人を犯し、警察は連続殺人犯を挙げるために、ゴルゴは犯人に報いを受けさせるためにそれぞれ奔走する。みどころとなるのが銃から発射された弾丸の特徴が『Dr.V.ワルター』で用いられたものと同一だと断定されるシーンだ。
『Dr.V.ワルター』を読んでいる読者は思やずニヤリとしてしまう展開だろう。警察は事件の調査をしながらゴルゴを探し、ゴルゴは調査結果を盗み聞くために警察の後をつける、そんな奇妙な三角関係の様相を呈しながら物語は進行していく。ラストではゴルゴ流のけじめのつけ方が披露される。どんなけじめのつけ方かは読んでのお楽しみだ。
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小摩木 佑輔
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