この記事の目次
簡単なあらすじ
SPコミックス第201巻収録。仮想通貨「ディール・コイン」をテーマにした経済モノで、129巻収録『最終暗号』の続編としても楽しめる作品。謎の発明者サトル・ナカタとは何者か? 仮想通貨の台頭を阻止するべく暗躍するゴルデンシルト一族とは? 腕利きの暗殺者・トロイ&ソフィーとゴルゴの闘い。
スポンサーリンク
ゴルゴと数学
今回は数学がふんだんに登場し、ゴルゴが数学にも堪能であることがわかる面白い話だ。ゴルゴと数学にどんな関係が?と思われるかもしれないが、狙撃には数学の知識が欠かせない。実際の狙撃でも、超長距離の狙撃では風の影響はもちろん、地球の自転まで計算に入れるそうだ(参考サイト:「3キロ先の標的に銃弾をズバリ命中させる方法」現役の米軍スナイパーに聞いた)。
今回の話のなかで一番驚かされたのが、ビルから落下しながらハワード兄弟を狙撃する際、一瞬見えたホワイトボードの数式で、ターゲットであるか否かを判断したというくだりだ。常人では、たとえ立ち止まってホワイトボードを見たとしても、とても判断はできないだろう。偉大な数学者は真の孤独を味わわなければなれないと、作中でニュートンやチューリングを例に語られる。真の孤独者といえば、ゴルゴはまさにそのとおりであろう。道が違えば大数学者になっていたのかもしれない。
トロイとソフィー、二人の暗殺者
今回はトロイとソフィーという男女二人組の暗殺者が登場する。水中スクーターに乗りながらの狙撃や、ヘリから落下しながらの狙撃など、ゴルゴに勝るとも劣らない腕前をもつ。落下しながらの狙撃は『メデジンカルテル』でゴルゴがすでに行なっているのを予習しているほど、ゴルゴについても研究をしている。
しかし、そんな彼らもビルから落下しながら数式を読むゴルゴの正確無比さには敗れてしまう。「10分経っても戻ってこなければ、ここから逃げろ」トロイからそういわれたソフィーだが、ゴルゴに敗れたトロイに殉じる。敵ながら見事な二人組であった。
高慢なゴルデンシルト一族
個人的に読んでいて腹が立ってきたのは、ゴルデンシルト一族だ。トロイとソフィーの雇い主で、FRBに大きな影響力をもつ。アメリカを創ったのは自分たちだという自負があり、未だにその莫大な利益を独占することについて「そうですとも!当然の権利ですわよ」といってはばからない。こういう人間がいるから世の中がよくならないのだろう。いつかゴルゴには彼らを暗殺していただきたいものだ。
秋山 輝
最新記事 by 秋山 輝 (全て見る)
- ゴルゴ13:第424話『歪んだ車輪』のみどころ - 2024年3月3日
- ゴルゴ13:第534話『父という男』のみどころ - 2023年6月9日
- ゴルゴ13:第457話『北京の蝶』のみどころ - 2023年5月20日